美しいモノクロの映像を見る作品でありながら、単なる不倫駆け落ち物語。
上流階級の人間が集まる高級ホテルが舞台。
去年僕たちはここで会いましたよね?とある女性に話しかける男。
女はまったく覚えていないと答える。
何度も何度もそのときの思い出話をする男。
まるで死んでいるかのようにずっと立ったまま動かない人々、ひたすら繰り返しの独白、無表情な男と女、時々人物の背景がトリップするなど、意味不明な描写の連続。
現在と過去、それが誰の視点での描写なのか、そもそもそれは現実なのか妄想なのか、観ている側の混乱と共に、気がつくと女は男の言い分に取り込まれていく…
ココシャネルが提供している美しく計算された非現実的な衣装と、女優の空虚な雰囲気が素晴らしい。
誰が何を言ったかではなく、今の自分の気持ちが重要。