ひば

さよなら子供たちのひばのレビュー・感想・評価

さよなら子供たち(1987年製作の映画)
5.0
1944年。ドイツ領になったフランス。子供から見た戦争の話です。暴力描写は一切ないです。たまに防空壕に避難するくらい。ただ日常に兵隊が混じってる。1940年に降伏したのでそこそこ時間も経っている。戦争を続けるより降伏した方がって思うかもしれないけど、占領されてしまえば人権なんてものは保証されないんです。この話では曖昧な線によって曖昧に子供が守られてる、世界が変わって数年、曖昧に世界を理解している子供たち。それがただ辛い。きらめく青春も過去として振り返るとき、"普通"に育てば美しいモザイクアートのように映されるのに、彼らにはある一点の鋭利で明確な図しかない。そしてこの映画を見た私にも同じ構図が。子供から見た戦争に子供だからといった甘さは存在しない。戦争は戦争だ。多くの人に二度と治らない傷を残す。受ける必要も知る必要もない。最初から最後まで、様々に異なる意味で"必要ない"ことが描かれる。決して彼ら子供たちのせいではない。決してそんなことはありえない。君のせいではない。そう正しさを説く人物は最後まで画面に残り続けてはくれない。
ちょっと近年稀に見るレベルでダメージを受けすぎました。もう駄目です。
運良くパンフレットを手に入れることがでしました。宮崎駿監督のレビューが載ってていた。幸せな記憶より世界の敵意悪意に出会った記憶が性格を形成するのだという話。しかしそれを理解し抗う術を持たず立ち尽くし凝視することしかできない。世界の戸口でたじろぎ、苦痛は続いても、何度も君たちは生まれ輝くのだと
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