TAK44マグナム

三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

4.0
ポール・W・S・アンダーソン監督が好き勝手にデュマの「三銃士」を仕上げたアクション映画。
想像するに、奥方であるミラ・ジョボビッチと夫婦タッグを組んだ「バイオハザード」がそろそろシリーズ打ち止めなので、それに変わる糧として企画したんじやなかろうか?と思うほど、続編ありきなラストにちょっとビックリ。
でも、各国でコケたんで、たぶん続編は厳しいと思います。

けれど、深く考えずに楽しんで観るぶんには充分な出来の活劇で、期待していなかったからか結構面白かったです。
なにせ、色々なところでソフトが投げ売り状態だったので、とんでもなく駄目な映画なんだろうと思いつつ、3Dをとにかく観たかったので購入したまま、ずっと押入れの肥しになっていたのをようやく鑑賞したわけですが、監督のライトな(というか何も考えていないような)作風がうまく合致したテイストの映画で、アクションはもとより笑いもあるし、衣装やロケーションがCGも含めて素晴らしいので、鑑賞している間は充分に楽しむことができました。
これなら子供も楽しめると思いますね。

無鉄砲なダルタニアンはローガン・ラーマンに合っているし、三銃士も、特にルーク・エヴァンズが格好良かった。
何気に、最初はお馬鹿として描かれている国王が純粋なのも良かったな。知らない役者さんだけど、達者だと思いました。
本当にお馬鹿で、純粋に見えたしね。

悪役側は、クリストフ・ヴァルツにオーランド・ブルーム、マッツ・ミケルセン、そしてミラ・ジョボビッチですが、それぞれ楽しそうに演じていて良いんじゃないでしょうか。
クリストフ・ヴァルツ演じる枢機卿のとぼけた雰囲気は、シリーズ化したらもっと化けそうだと思うんですけどね。剣の実力もありそうだったのに本作では戦う場面がなかったので、そういった部分を膨らませられるキャラクターじゃないかな?
ミラは、実にアクションに向いていなさそうな衣装で動き回り、頑張っていましたね。

不満点としては、さくさくと話が進んでストレスフリーなのは良いのですが、薄っぺらく重厚感が感じられないところ。
おもちゃのようなCG飛行船とかもそうですが、何よりも登場人物にまったく深みがないんですね。
一番深みがあるのは実は国王なんじゃないですかね?あと王妃かな?
三銃士もそれぞれ抱えているものがありそうで、あまり語られないし。主人公であるダルタニアンが人物としては一番薄っぺらいっていうのも問題かもしれません。
あと、クライマックスで、三銃士の「銃士としての活躍」がほとんど描かれないのが気になりました。
ポルトスとアラミスは多少、剣劇もありましたけど、アトスに至っては、飛行船から動けずじまい。おいしいところはダルタニアンがみんなもっていってしまって、タイトルに偽りありじゃないですかね?

まあ、そうは言ったものの、二転三転するクライマックスの展開は娯楽活劇の王道をいっていて個人的に大変好みでした。
なので、つっこめばキリがない映画でもありますが、評価は甘めといたします。
家族や友達とワイワイ言いながら観るには適しているかと。
(と、書いている本人はひとりぼっちで観ましたが・・・)

ちなみに、ブルーレイ3Dでの鑑賞でしたが、奥行きは場面によってはかなり強調されて立体感ありました。が、飛びだしが目立つ場面はほとんど無かったです。
スローモーションのカットもありますが、「バイオハザードⅣ」のサングラス投げみたいな飛びだしを強調させたのは見当たりませんでしたね。残念。


セル・ブルーレイ3Dにて