カタクチイワシ映画レビュー

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のカタクチイワシ映画レビューのレビュー・感想・評価

3.8
砂漠にある一軒のモーテル「バグダッド・カフェ」に集う人々と、ドイツ人旅行者の女性の交流を描いた作品。


映画冒頭、このドイツ人女性ジャスミンが旦那と喧嘩別れするシーン。そこでかますビンタのキレと音が余りにも小気味好くて、理由もなく絶対好みの作品だと思った。

この映画嫌なキャラクターが全然いない。カフェにやって来る人は一風変わった変なヤツが多いんだけど、悪意のある人は一人もいなくて観ていてほっこり。

年中ブチギレまくってるカフェの女主人ブレンダにもめげず働き出すジャスミン(しかも勝手に!)。親切で働き者の彼女はカフェだけでなく、次第に店の空気、人々の心までキレイに変えていく。そしてそれはブレンダにも伝わって…。この辺、決して大袈裟な演出なんかじゃないのが良くて、なんかこっちも心洗われるようで嫌味なく気持ちいい。

ジャスミンといい感じになっていく画家のじぃさんがいるんだけど、2人の距離が近付くにつれて絵のモデルとなるジャスミンの露出がどんどん多くなっていくのは普通に笑わされました。おいジジィ!気持ち出すぎちゃってるよ!って(しかもじぃさんの名前はCOX = コックスでまた爆笑)。

時折挟まれる独特の色彩表現と映像演出も神秘的で、この映画のファンタジー性を一層引き上げてると思います。自分、ドイツ映画って古いゴア・スプラッター系か戦争ものが殆んどだったんでこれは新鮮でした。

やっぱまだまだ観てない良作・傑作がいっぱいあるなぁと、改めて映画の奥深さを思い知る作品に出会えました。まだ観ていない方にはオススメです。