OASIS

おばあちゃんの家のOASISのレビュー・感想・評価

おばあちゃんの家(2002年製作の映画)
3.2
母親の職探しの為祖母の家に預けられた少年が、口が利けず耳も遠い祖母と僅かな間暮らす事になるという話。

ワンパクな少年が家で暴れようとも、汚い言葉で罵倒されようとも、咎めようともせずにただそれを見つめ続けるおばあちゃん。
喋ることが出来ない為、実の孫とのコミュニケーションもままならないが、しわくちゃの顔から覗く眼が幾億の言葉を表現しているかの様に雄弁に語る。
おばあちゃんにとって孫というものは、掛け値無しに寵愛せざるを得ない存在であって、そこには余計な会話等必要無いだろうとばかりに。

自分からは特別甘やかそうとはせず、求められる事があれば持てる力で最大限応じようとする。
時には我慢、時にはそっと手を差し伸べる。
この映画のラストには「すべてのおばあさんに捧げる」というメッセージが添えられているが、それも我が子に対して過干渉し過ぎない程度の適切な距離の保ち方を身に付けなさいという意味なんだろう。

ただ、少年の我儘し放題な暴走ぶりは目に余る光景で、あそこまで傲慢な態度をとる理由は母親の育て方に問題があるのは間違い無い。
ゲーム機の電池が切れた事を引っ張り過ぎだし、田舎の不自由だからこその風情を楽しむという心も持ち合わせていない。
なので、孫に言って聞かすよりはまず母にお灸を据える方が先決なのはどの家庭でも言える事ではないだろうか。

終始自分勝手な行動をとる孫に辟易としてしまうが、それを「しょうがないなぁ」と思いながら観れると少しの成長に心動かされるとは思う。
おばあちゃん、おじいちゃん世代だと落ち着いた目線で観れるかもしれないがまだまだその世代では無い自分からすると可愛さよりも憎さの方が上回ってしまった。
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