「乙女の祈り」
「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のピーター・ジャクソンが監督し、まだ知名度が薄かったメラニー・リンスキーとケイト・ウィンスレットが怪演を披露した作品。
ニュージーランドで実際に起きた事件をもとに、14歳の少女2人が惹かれ合う様を描く。客観的に見ると異常なほどに親密な2人だが、決して「禁断」などではなく、その関係性は純粋無垢で美しさすら感じる。
序盤の仲睦まじい関係性は微笑ましくみていられるのだが、後半に進むにつれて不穏な空気が流れるようになる。前半に比べて後半は少しテンポが悪い気がしたが、終盤は途轍もない緊張感を感じる上に、胸が苦しくなる。
何よりこれが実際の事件かつウィンスレット演じる女性はその後、推理小説家として世界的に有名な人物だったというのも驚きだ。
「LotR」と「ホビット」のイメージが強すぎるピーター・ジャクソンがこんなにも生々しい事実の映画を作るとは意外だったが、ニュージーランドの広大な自然の風景や作中で登場する粘土細工の人形たちの場面は、前述の作品に通ずるものを感じた。