教授

インプリント ぼっけえ、きょうてえの教授のレビュー・感想・評価

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エロでも、グロでもなく、静謐さと繊細さを悪でひた隠しにしている体の、悪趣味さというような印象。

拷問シーンの痛々しさや、水子を遺棄するというのをそのまま魅せる倫理観が疼くシーンに「うわぁ」とはなりつつ、実はそこまで残酷に感じない、というと語弊があるが、その辺りのバランスというか、真の悪趣味、真のグロテスクまでは振り切っていない感じというのが三池崇史のバランスだと思う。
ただ充分に痛々しいし、気持ち悪い。

一方で、家族とは?とか社会の中のマイノリティの問題とか。とにかくこの世には酷いことが溢れているし、その現実と、僕らが抱きがちな「愛と平和」「夢と希望」それら「倫理観」の薄っぺらさを暴くストーリーと描写には共感してしまう。

面白いか、面白くないかは全く別にして、しっかりとその倫理観に対して挑戦し、批評するための表現というのは必要だと思うし、本作は描写の過激さからか、映倫の「審査規格外」となり、思考停止した経緯があるが、こういう作品こそ、しっかりと審査しろよと思った。

審査するのなら「判断できないからなかったことにする」と存在したものに対して向き合わないのは、そもそも存在意義のない判断だし、作品のゾーニング自体は必要な部分もあると思う(観る観ないの判断を観る前に決められるという点で)。
本作は成人したら一度は観ても良い(観るべき、とまでは思わない)作品だと思う。
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