Dumbo

ゲド戦記のDumboのレビュー・感想・評価

ゲド戦記(2006年製作の映画)
3.8
仕事が休みだったので、今月の月イチクーポンもあるし、ストーリー・オブ・マイ・ライフのおかわりをしに行こうと思ってネットでチケット購入をしようとラインナップを見ていたら…
あ、そういえばこれ、観てなかったなぁと。

ゲド戦記は原作が好きすぎて、観に行けなかったのです。
しかも、公開当時の酷評も知っているのでその後も観たいとは思わなかった。
フィルマの評価を見たらまさかの2点台…
え…そんなに⁇
そうなると逆に気になって仕方なくなり、
観に行く事にしました 笑

この日はハッピーマンデーで誰でも1100円だったので、結局クーポンは使わなかったですが💦

前置きが長くなりましたが、
結論から言うと、観に行ってよかったです。

どの役も声がよく合ってた。
アレンの岡田君もテルーの葵ちゃんも上手だったし、
ゲドの菅原文太さんの声も渋くて素敵だった!

ただ…やっぱり原作とあまりにも違う…
もともと私は、原作がどんなに好きでも、
エンターテインメントとしての映画の役割を考えると、映像化されたらそれは別のものとして観ようと思ってて、今作も違うこと覚悟で観ていたのですが…
例えばアレンが父親を殺すシーン…
原作ではこんなシーンは無いのです。
アレンはむしろ父親を尊敬していて、
世界の均衡が崩れている原因を探るために父親から頼まれてゲドに会いに行くのです。
でも今作のアレンは、父親を殺して自暴自棄になって逃げてきた王子になってて…
アレンの人間性まで変わってしまってる💧
後で調べたら、父親を殺すシーンを作ったのは、宮崎駿監督の息子である吾朗監督の作品なので、偉大な父親に対する吾朗監督の気持ちを重ねて、作品の宣伝効果を狙って、プロデューサーがそうするように言ったとか…
それだけはやめて欲しかったな…

テルーもテナーも、原作ではこの時点で出てくる人物たちではないし。
あと、魔女のクモとの戦いシーンも、
映画にする以上は盛り上がるシーンが必要なのは分かるが、そもそも原作ではこんな暴力での戦いではないのです。

原作が観念的で哲学的な物語なので、目に見えないものを表現するのは難しいし、映像向きではないから、いろいろ変えないといけないのは仕方ないことですが…

原作の、ル・グウィン「ゲド戦記」は、
カテゴリーとしては児童文学ですが、
子どもより、大人が読んだ方がおもしろい本です。私も大人になってからこの本に出会いました。

おそらく、原作を読んでいないと、
⁇な部分がとても多いと思います。
突然テナーやテルーが出てきても「誰?」
ってなりますよね💦
ゲドとの関係も、あのセリフの中の説明だけではわからないと思う…
「本当の名前」がどんな意味をもつのかも…


疫病が流行るのは、宇宙の均衡を維持しよう        
 とするもの…

偶然にも、コロナという未知のウィルスにおびやかされている今と重なった。


あれこれ長々と書いてしまったが、
「テルーの唄」と「時の唄」は
とてもとてもよかった!
「テルーの唄」は谷山浩子さん作曲なんですね。
谷山浩子さんてなんか懐かしい。
葵ちゃんの声って、なんでこんなに泣けてくるんだろ…
そして、
エンドロールで「時の唄」を聴いて
またぼろぼろ泣いてしまっていたのです…

映画館の魔法にかかってしまいました…
とても心地よい魔法に…
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