sugenon

白夜行のsugenonのネタバレレビュー・内容・結末

白夜行(2010年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

個人的にミステリー映画の良し悪しは、伏線をきちんと見せてて後出しでネタ出ししない。そのドラマの世界観の中でオチを矛盾させない。がまあまあちゃんとしてれば問題なしなんだけど、この映画は結構問題あり笑

え、なんで強姦事件起こすんだっけ?
え、いつの間にそんな情報仕入れてたの?
え、なんで追い詰められてないのに自殺?

などなどよくよく考えると分からないことが結構ある。でも映画はロジックだけじゃなくてキャラクターの心情に共感したり、感情移入して楽しむ事も大事なのでトリックに細かくこだわらない場合も多いんだけど、この映画は誰にも共感できなかったなあ。

ちなみに白夜行はテレビドラマを見て、原作を読み、この映画を観たという順番。
映画は実は原作に忠実で、雪穂(堀北真希)と亮司(高良健吾)の心情(と行動も結構)を表現せずに第三者の目線で語られる話となっている。映画はこれをそのままやってしまったが故に、冷酷な悪女の雪穂、同情して裏で暗躍した(というかいいように使われた)亮司、どこまで二人を気に留めていたかちょっと分かりづらく、最後突拍子も無い事言っちゃう笹垣(船越英一郎)という印象しか残らない。なんかいい材料だったのにあんまり美味しくない料理出て来ちゃったな、という感じ。

かたやテレビドラマはこの二人(綾瀬はるか、山田孝之)がいかにして事件を起こす事になったか、そこから結ばれた絆と、青春期の揺れ動く心情、善悪に悩む姿を、原作の裏をなぞるように二人を主軸にして非常によく映し出していた。二人とも未熟でイライラさせられるんだけど、愛すべきキャラクターで大好きな作品だ。周りの人間もとても魅力的で、10話の笹垣刑事(武田鉄矢)と図書館の司書である谷口(余貴美子)が二人を語るシーンはボロボロ泣いてしまうほど好きである。

東野圭吾のミステリー作品は、事件を起こさざるを得なかったやるせなさや、人間の切なさ、愛情の深さがテーマとしてあるからして、この映画にはそれを感じなかったのが残念。表現しようとしたのがラストの亮司と笹垣のシーンだと思われるがちょっと上滑りしてたかな。

良かった点は。
昭和55年で11歳だった二人はオイラと全く同年代なので高校時代の女子の髪型や、平成になる頃のみんなの服装なんかは実によく出来ていた。その時代に撮ってないにも関わらず80年代のアーカイブ映画としてよく出来てる。昭和の鬱々とした色合いも感じられる。
それと栗原典子役の粟田麗さんの「今は生温い地獄の繰り返し」(51:39)の台詞回しが妙にドキッとさせられるのと、服毒自殺のシーン(1:30:10)がメチャメチャ苦しそうで毒では絶対に死にたくないと本気で思いました。どうでもいい情報か笑
sugenon

sugenon