akrutm

プライベイトスクールのakrutmのレビュー・感想・評価

プライベイトスクール(1983年製作の映画)
3.8
全寮制の女子高校とその近くにある男子高校の生徒たちが繰り広げる恋愛や性に関する騒動を描いた、ノエル・ブラック監督の青春コメディ映画。80年代によく見かけたおバカでエッチな青春映画のひとつで、今となってはバカバカしい限りだが、個人的には嫌いではない。

私が知らないだけかもしれないが、最近はこういう映画はすっかり見かけなくなった。こういう映画を作っても興行的に成功しないという観客側の興味の変化のせい(それも本心なのか他人の目を気にした上辺だけなのかはわからないが)なのか、それとも製作側の理知的な自主判断のせいなのかは知らないが、今でもたまにはこういう映画があってもいいように思う。下手にジメジメするよりも、これだけあっけらかんとしていると清々しいくらいである。女子生徒の間で仕掛ける突拍子もないイタズラもくだらなくて笑える。

本映画の見どころは何と言っても、フィービー・ケイツ。この頃はめちゃくちゃ人気があったときで、ラーメンのCMに出演したのが懐かしい。けっこう際どいシーンがあった前作『初体験/リッジモント・ハイ』と異なり、フィービー自身のお色気シーンは本作にはほとんどない。純粋に可愛らしいフィービー・ケイツを楽しむのが正しい鑑賞法であろう。そして本作の次に出演するのが『グレムリン』となる。(TV映画を入れると『Lace』が次作になる。『Lace』でのフィービーの役柄や演技は映画では見られないもので、個人的にはとても気に入っている。)

一方、本作でお色気シーンを一手に引き受けるのが、フィービー・ケイツの彼氏にちょっかいを出すライバル役を演じたベッツィ・ラッセル。本作が出世作になったとはいえ、よくこんな役を引き受けたと思う。それから個人的に印象に残ったのが、フィービーのルームメイト役のキャスリーン・ウィルホイト。本作がデビュー作であり、脇役中心であるが現在までずっと活躍している。本映画での、どことなくとぼけた感じなのに大胆な演技が魅力的。

本作は、前々年の『プライベート・レッスン』が想定外の大ヒットになったことを受けて構想されたものだそうで、『プライベート・レッスン』のスタッフが多数参加するとともに、その原作者のダン・グリーンバーグが本作の脚本を担当している。シルヴィア・クリステルが教師役としてちょこっと出演しているのも、そういうつながりからである。また、80年代の映画の特徴であるが、こんな映画であっても音楽に力を入れている点がすごい。リック・スプリングフィールドが担当した音楽のレベルは高く、いくつかの曲でフィービー・ケイツも歌っている。
akrutm

akrutm