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デヴィッド・バーンの トゥルー・ストーリーのGreenTのレビュー・感想・評価

3.0
いや〜この映画、最後まで観れるとは思わなかった(笑)

一応プロットはあるんです。ヴァージルというテキサスの架空の街で、テキサス州独立150周年記念の"Celebration of Specialness"(特別であることを祝う?)フェスが開かれる。どうやらデヴィッド・バーンはそこに招待され、フェスの準備をする市民たちを観察する「ナレーター」らしい。

私、トーキング・ヘッズもデヴィッド・バーンも全然知らないのでアレなんですが、このカーボーイ・ハットをかぶってクラッシックカーに乗ってるデヴィッド・バーンは、ファンにはシュールで笑えるらしいです。

で、ナレーターはヴァージルの経済を支えるヴァリコープ・コーポレーションというコンピューター会社の防塵室(クリーンルーム)で働くルイ(ジョン・グッドマン)と親しくなる。ルイは結婚相手を探していて、出会い系サイトをやったり、独身者のパーティに言ったり、ヴードゥー教の占いに行ったりする。

ルイとナレーターがばったり会う、クラブでの「カラオケ・ナイト」というか、どうもこれはどちらかと言うとクチパク?レコードに合わせて歌い踊る・・・。これが、トーキング・ヘッズのMVにもなったらしいんですけど、次々に色んな人が出てきて歌い踊るのが可笑しい。

この他にもシュールなファッションショーとか、タレントショーとか出てくるんだけど、音楽は全部トーキング・ヘッズらしく、なかなかいいんですよね。キャストが歌っているのは歌が下手で、それもご愛嬌って感じで。

で、ルイが出逢う女の人とか、とにかく登場人物が変な人ばっかりでストーリーらしいストーリーはないんだけど、なんでこんな映画作ったんだ?って思ったら、ウィキに制作秘話がありました。

バンドのツアー中ってめっちゃヒマらしいじゃないですか?移動移動で。デヴィッド・バーンは、そんなツアー中にタブロイド(ゴシップ紙)を読んで興味深い記事をスクラップ・ブックしてったらしいんですね。

で、そのお話を元にスケッチを書いて、部屋の壁中に貼ってあったらしい。

だからパケ写の写真なわけですね(笑)

共同脚本に名前が載ってるスティーブン・トボロウスキー(『恋はデジャブ』の保険のセールスマン)とベス・ヘンレイは、ジョナサン・デミ(『羊たちの沈黙』の監督)の紹介でデヴィッド・バーンと知り合い、家に招待されて、この壁いっぱいのスケッチを見せられ、「この話が全部本当だったら、どんな話になるかな?」と、脚本を書いてほしいと頼まれたと。

2人は、テキサスで150周年記念の祭典があることを知っていて、これがデヴィッド・バーンの作り出したシュールなキャラクターたちのバックグランドとしてハマるんじゃないかと脚本を書いた。デヴィッド・バーンは、背景のテキサスの150周年以外の部分はほとんど書き直したんだけど、「有名ミュージシャンの自己満映画」と言われたくないから、2人の名前を共同脚本として残させてくれって言ったんだって。

なんか、社会風刺風でもあるんだけど、現代社会をバッサリ切る!とか、テキサスの田舎の人たちの風習とかを斜に構えて見る!って感じはしなくて、本当に面白がっている感じが軽くて笑える。

デヴィッド・バーン本人が演じるナレーターも、シュールで奇妙だけどなんだかほのぼのした感じで、ヴァージルの街の人たちの生態観察を純粋に楽しんでいるような。

なんか変わったものが観たいって気分のときには面白いかもしれません。
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