ノッチ

エクソシスト ビギニングのノッチのレビュー・感想・評価

エクソシスト ビギニング(2004年製作の映画)
3.0
アフリカで、歴史的にあるはずがない教会が発掘されてから、街には怪事件が多発する。

特にある少年の周囲では不可解な出来事が連続していた……。

1973年に公開されたオカルトホラーの名作『エクソシスト』の25年前という時代設定で描かれた恐怖の物語。

この映画を製作する際に、いくつも事故や突然の死など降りかかったらしいですね。

あんまり期待せずに観たのだが、思いのほかちゃんと出来ていた。

内容は『エクソシスト』以前のお話。 

設定は最初の『エクソシスト』から遡ること25年前。

本家『エクソシスト』で、カラス神父と共に悪霊パズズと戦った老神父、メリンの若かりし頃のストーリー。 

『羊たちの沈黙』に対する『ハンニバル』の立ち位置によく似た映画です。

メリン神父にあんな過去があり、信仰を失っていた時期があったとは知らなかった。

というか神父、思ったよりゴツイ感じだったんですね。

スパイダーウォークはないけど、悪魔に取り付かれると体柔らかくなるのは前作同様です。 

悪魔は、巧妙に嘘をつく!というのを地でいってるような感じ。

アフリカのうだるような暑さ、群がるハエやハイエナ、アフリカの儀式など、何となく気持ち悪い。

主人公のトラウマを上手く使って、悪魔が巧みにその弱さに入り込む演出など、人間ドラマとしてもなかなかいいと思います。 

多少の気になる点はあるが、メリン神父のトラウマ、悪魔に翻弄され大量殺戮を再現する人々、現代ならではのVFXを用いたビジュアル表現など、期待していなかった分の満足感はある。

ただ物足りなかったのは、悪魔との闘いのシーンが少なかったこと。

アフリカの原住民との対立シーンや、死産した赤子など、映像的にグロなシーンはふんだんなのだが、肝心の「悪魔祓い」のハラハラ感が少ない。 

精神面に訴える作品だからアクションは少なくて当然なんだろうけど、最後のメインのバトルが地味だったのが残念だった。 

また、メリン神父が一時信仰を捨てる理由となった、ナチスによるホロコーストに関わってしまったエピソードが通り一遍であること。

もっと掘り下げて欲しかった。

でもまあ、こういうのは雰囲気を楽しむものだとは思うけど、キャラクターもよく出来てたし、演出なども丁寧に作ってあって好印象。

衝撃度ではやっぱり最初の作品のほうが上だけど、コレはコレでなかなかいい味でした。
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