真鍋新一

ヤコペッティのさらばアフリカの真鍋新一のレビュー・感想・評価

3.8
すさまじい。哺乳類の虐殺シーンは『世界残酷物語』にもあったが、ゾウやカバ、カモシカやシマウマがヤリなどによって串刺しにされるのは本当に見るに忍びないものがあった。しかし実際に起こっていたこととはいえ、どうもカメラの前でわざわざ動物を殺させた疑惑が拭えない。たしかに行為を容赦なく映像に記録することで、動物を守ろうと活動を続ける人々の存在感がより伝わってくるのだが、ジャーナリズムに名を借りたある種の歪みが見える。

序盤からこの調子なので、やがて話がコンゴ内戦へと移り、人間同士の凄惨な殺し合いが生々しく映し出されるといよいよしんどい。『世界残酷物語』の成功で余裕が生まれたのか、シネマスコープで画づくりもかなりダイナミックになっている。現地で再現されたヤラセの映像も少なくないそうだが、紛争が起こったこと自体は事実なのでやはりこの映像は真摯に受け止めざるを得ない。

データ上は上映時間79分となっているが現在見られるものは138分で1時間も長いバージョンなのですっかり油断していた。戦争パートと動物パートの往復で編集が単調なのが残念。1本の映画として観るにはあまりにも情報量が多すぎた。
真鍋新一

真鍋新一