Violet

パリ、テキサスのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ヴェンダース監督のアメリカ愛に溢れた、ハリウッドでは決して撮れないアメリカのロードムービー。

Hunter役の子、実際のお名前もHunterだったのね。この子がとても良かった。地球の誕生とか宇宙について子供らしい舌足らずな感じで興奮気味に話すのがとても愛らしい。
Travisと歩いて帰るのが嫌で意地悪するシーンは切なくなったけど、8mmビデオ見てからHunterとTravisの距離が縮まっていくのがうれしい。8mmの映像も良かったし、それを見てる4人の表情も良くて…。エモーショナルで印象的なシーンだった。

お互いの姿が見えない鏡越しに再会を果たすTravisとJane。このシーンの手前/奥の二者を同時に捉えるショットは、二焦点レンズを用いて撮影された。ふたつの距離の違うものに同時にピントを合わせ、ひとつのフレームに収めることができる撮影法。

ただ、この映画ってこういう視点で見るものではないのだろうなとは思うけど、WaltとAnne(特にAnne)の気持ちを考えると最後のTravisの選択は複雑だったな…。
あと、Hunterはヘンテコな両親のせいでたらい回しにされて可哀想…。TravisとJaneに捨てられて、WaltとAnneと家族になったと思ったら、今度はJaneと2人家族。もう少しHunterの感情も大切にしてほしかった感はあるので、わたしは最後の結末に対して手放しで良いラストだ!!とは思えないけれど、ヴェンダース監督が 「自分には価値がないと考えて、トラヴィスは家族をあきらめる。それがふさわしい結末だと思った。妻と息子を自由にし、二人がまた一緒にいられるようにする。これ以外の結末はあり得なかった。」とコメントしてるので、こちらが言うことは何もないです🙇🏻‍♀️笑

Travisの決断は、間違いなくJaneとHunterを愛するが故のものだった。

ちなみに、「この谷で生まれたら逃れられないぞ」的なことを橋の上の男が叫んでいて、あれはなんだったんだと思って調べたら、ヴェンダース監督からの回答を見つけた。また変なところに気を取られていたんだなわたしは…😂
→ サム・シェパードは、物語上特別な意味のない数多くのモノローグを書いていた。そのうちのひとつが橋の上で叫んでいる男の台詞だ。
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