TAK44マグナム

クロスファイアのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

クロスファイア(2000年製作の映画)
3.4
宮部みゆき原作の超能力小説を平成ガメラシリーズの金子修介が脚本・監督を担当して実写映画化。
主演は矢田亜希子。共演に伊藤・マジックマッシュルーム・英明、桃井かおり、長澤まさみ、永島敏行など。

幼い頃、自分に襲い掛かったDQNな少年をパイロキネシス(発火能力)によって焼き殺してしまった矢田亜希子は大人になったいま、人を遠ざけて生活していました。
しかし、会社の同僚のさわやかイケメンの伊藤英明といい感じになり、伊藤の妹とも仲良くなります。
そんな頃、なんと妹ちゃんがスーパーDQNな未成年者グループによって惨殺されるという事件が発生、主犯格の徳山秀典が捕まりますが証拠不十分で釈放されてしまいます。
怒り狂った矢田亜希子たちは徳山秀典を焼き殺そうとしますが、やっぱり殺人はよくないと考えなおします。
そこへ現れたのは怪しい男、吉沢悠。彼もまた、人の思考を操ることのできる超能力者だったのですが・・・

強力すぎる力をもってしまった美人OLが、残忍きわまりない外道DQNたちを焼き殺すリベンジものですね。
長い原作をまとめているので、けっこう脚色されているんだろうなあと感じました。
小説は未読ですがコミック版は読みました。話が進むにしたがって違う部分が多かったような気がします。
特に、「ガーディアン」の設定が、かなりいい加減になっていますね。あれじゃ組織っていうより、個人的な趣味の範疇でしかないんじゃないですかね。
黒幕は、結局何がやりたいのか、さっぱり分からないまま人を殺しまくります(苦笑)。

とにかく、焼き殺されるヤツは、どいつもこいつもろくでもない下衆ばかりなので、「それでも人を殺すのはよくない」と桃井かおりに言われようが何だろうが、「ヒャッハー!!もっとやっちまえ~!!」と、矢田亜希子を応援するでしょう、誰でも。
さすがに自動販売機を蹴飛ばして100円玉盗んだだけで「将来的に悪いことしかしないから」と、焼き殺されるのは勘弁ですが・・・。

それにしても、矢田亜希子(&長澤まさみ)のパイロキネシスは超強力です。あれだけの能力があったら、コンビナートとか原発とかを盾にして、やりたい放題できてしまいそうです。
弾丸も溶かしていたし、JOJOのマジシャンズレッドかと思いましたよ!
正直、炎や爆発などのVFXは、いかにも邦画というレベルでしかありませんが、それなりに頑張っている感はあります。

キャスト陣ですが、矢田亜希子も伊藤英明もまだ若い!そして演技もあんまり(苦笑)。悪くはないけど台詞が軽い。
しかし矢田亜希子、細い!ちょっとだけサービスカットあります。
長澤まさみは映画デビュー作です。まだ幼顔だし、知らないで観たら長澤まさみだと分からないかもしれません。
脇を固める桃井かおりや永島敏行、原田龍二あたりは堅実。
桃井かおりは台詞が面白いのもあるんですが、ひとりで作品の質を上げていると言っても過言ではないでしょう。やはり巧いです。
金子修介作品ということで、平成ガメラ出演者たちが大挙して、ホンのチョイ役で出ています。セガールの娘やミポリンの妹まで顔を見せていますよ。本当に顔見せ程度ですけど。
あと、雨上がり決死隊の宮迫や谷原章介なんかも。
谷原章介は、本当にどうでもいい役でしたねえ・・・思わせぶりに登場したわりには使われ方が可哀相でした(苦笑)。
そして、DQN軍団のボスを演じた徳山秀典。
彼は、なんといっても「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」「メタルヒーロー」という、クールジャパンが誇る四大特撮ヒーローシリーズの全てに出演経験があるという稀有な役者さんなわけですが、心の底から死んでほしいような役柄を死んでほしいように演じていまして、ボボーンと爆裂して派手に死ぬんですが、「やっと死にやがったか」と晴れやかな気分に浸れる最期をありがとう!といった演技が、大変よろしゅうございました。グッジョブ!

クライマックスの舞台となる遊園地は、いまはなき横浜ドリームランドです。
個人的に思い入れのある遊園地でありまして、家から一番近いご近所遊園地でありました。
夏の花火も行ったし、冬はスケートリンクへ、高校の頃にデートで行きましたよ。
潜水艦とか、「学園天国」を延々と流している名物アトラクションがあったりして、ローカルな遊園地だから最終的には閉演となってしまいましたが、閉演が決まってから行ったら超満員でした(汗)。
昔は、ドリーム名画座という映画館まであったんだよなあ。
あと、「ひとつ屋根の下」で福山雅治と酒井法子が観覧車に乗ったのも、確かここだったような気がします。

・・・うむ、全然、映画と関係ない(苦笑)。

まあ、まとめるとですね、超能力を真正面から扱っている邦画の中では成功している方だと思います。
終盤の展開は、いくら何でも永島敏行が頭おかしいんですけど、お話もギリギリ破綻していないし。
切ない終わり方もよろしいのではないでしょうか。

しかし、こういった超能力者が相手だと、現実問題、逮捕なんてできないよね。
本人が協力しないかぎり立証できないから、立件しようがないでしょうし。
そういった意味では完全犯罪かも。
ただ、変な組織につかまって、監禁されたり利用されたりするとは思うけれど・・・(汗)


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