Kamiyo

自殺への契約書のKamiyoのレビュー・感想・評価

自殺への契約書(1958年製作の映画)
3.8
1959年 ”自殺への契約書” 監督.脚本ジュリアン・デュヴィヴィエ

当時のフランス映画のベテラン中堅役者勢ぞろいという映画。
導入部を除き、すべて一室内での撮影ですが
それでいて飽きずに全体を見る事が出来る傑作です。
アガサ・クリスティの小説を思いだすような犯人探しの推理が続き
容疑者が二転三転する所が面白いです。

第二次世界大戦終末期にフランスレジスタンスのリーダー殺害された
その原因の犯人を見つける
勇敢同盟なるレジスタンスを組織していて
ロンドンから支援を受けていた彼ら。
終戦間近だというのにいきなり独軍が押し入ってきて
リーダーのカスティーユが銃殺されたのだ。
それを15年経った日に、独軍将校に密告した者がいることが判明し
その犯人に遺書を書いて自殺してもらおうと計画を立てたのだ。

晩餐会を主催したのは邸宅の主人ピカール。
彼らが会合を開くためにピカールの邸宅に集まっていた
カスティーユが殺されていたという状況を再現しようとする
10人とピカール邸の婆や1人。
ロンドンからの資金を横領した者がいて、それが犯人だと憶測する面々。しびれを切らしたかのように、犯人だと思う人を投票したり
弁明したりと徐々に疑心暗鬼にとらわれる面々。
あの夜の状況を再現することになった。カスティーユの死体を見たのは
印刷工場主のルジェだけだった。が、彼の説明は、遅れてつい た
ブランシュと老女中の反バクでくずれた。
貧しい印刷工だったルジェは工場の資金の出所を説明できなかった。
追いつめられたルジェはマリー(ダニエル・ダリュー)がカスティーユの情婦 だったことを話し、マリーが嫉妬で殺したのを目撃したというのだ。
マリーは面通しという最後の手段をとった。
二階に例の元独軍将校がいると、その名を呼んだ のだ。
足音が近づいた時、仲間の一人が逃げ出した。
ルジェだった。彼は軍資金を盗んだのを
慕っていたマリーや仲間に知られるのをおそれ
密告し、襲撃に まぎれてカスティーユを射殺したのだ。
足音はマリーとしめし合せたピカールだった。
ルジェは引きすえられ、遺書を書かされた。
彼が惨めに助命を乞い、皆の気持がた じろいだ時

ピカールは運動で殺された仲間の名を読み始めた。
カスティーユの名まできた時、銃声が起きた。
マリー(ダニエル・ダリュー)が犯人を射殺して
犯人ルジェが自分で描いた「自殺への契約書」を破り捨てて
警察へ自首の電話をするのだった。見事な締め方。

殆どがど会話での進行なので、出演者の演技が重要ですが
デヴィヴィエの演出の下で、その点は申し分ありません。
ダニエル・ダリューは勿論名演ですが
リノ・ヴァンチュラ、ベルナール・ブリエ、セルジュ・レジアニ、ポール・ムーリス、ロベルト・ダルバンなど9人の男優も
それぞれ個性的な役を見事にこなしています。

ダニエル・ダリュー。当時、40歳すぎと思われますが
なんと気品のある美しさでしょう!

これだけの俳優をうまく使いこなしているのが流石デヴィヴィエだなと思いましたし、贅沢な一級娯楽作品であることは間違いない。
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