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東京日和のKamiyoのレビュー・感想・評価

東京日和(1997年製作の映画)
2.5
1997年 ”東京日和” 監督 竹中直人  脚本 岩松了
原作 荒木陽子 荒木経惟

荒木経惟・荒木陽子の随筆・日記・写真から構成される
同名書籍が原作。『東京日和』と題した写真集が出版されることになり、写真家の島津巳喜男(竹中直人)が死んだ愛妻ヨーコ(中山美穂)を回想するという形式を採っている。

愛妻ヨーコはエキセントリックなタイプで、気分の浮き沈みが激しく、フラリと居なくなったりする。
写真家の夫 島津巳喜男もちょっと変わっていて
平気で街中とか電車の人間を隠し撮りをするタイプ。
ストリーの内容の理解を観ている人に投げているので
とても疲れる。

回想の冒頭は広告代理店の連中を呼んだホームパーティから始まるが、ヨーコの情緒不安定な面が強調されるため、イレギュラーな死を予想してしまう。

竹中直人は巳喜男.ヨーコ夫妻を全く自身の創造した人物像に置き換えているように見えた。
物語は極度にセンチメンタルで、巳喜男の異常なほどのヨーコに対する偏愛、ヨーコを一心に愛を注ぎながらその思いがヨーコに重荷になるのでは無いかといぶかる男。一方ヨーコは壊れやすいガラスの様な繊細な神経を持つ美しきひと。時々だまって家出をしたり、近所の自閉性気味の少年を必要以上に保護したり、巳喜男を戸惑す 行動にでる。映画はふたりの間に生じる微妙なキレツが、少しずつ広がる様子を見つめようとする。

竹中演出の巳喜男の心象的に追う描写にこれ迄のお遊び要素は極端も減り、むしろ誠実で真摯な私小説的語り口となっていた。それは決してマイナスではないが、主演を兼ねた作り手はすこしばかり巳喜男に自己執着し過ぎてはいまいか。お手本となっていると思われる小津や成瀬が描く世界には適度な風通しの良さがあったと思う。
ひたむきな描写にかいま見えるこの自意識過剰へのとまどいのは相手役の中山美穂の演技にも反映されているような...。

柳川への旅以降は、中山美穂のグラビア映像ないしはプロモーション・フィルムといっていい。換言すれば、本作は中山美穂のアイドル映画で、ヨーコではなく中山美穂の魅力を楽しむ作品になっていて、実際、『Love Letter』(1995)で全開させた彼女の魅力をフィルムに定着させている。
そうした竹中直人の邪心によりドラマなのか写真集なのかどっちつかずで、柳川以前を退屈なものにしている。

陽子が舟の中で眠るところは、アラーキーの写真になぞってあって、ここは見どころ。あと、野の花を片手に走ってくるシーンは、ズルいくらいかわいい。その傍らに、車掌役でアラーキーの姿。いい笑顔だ。この作品、友情出演が多く、中島みゆき、映画監督の森田芳光、塚田晋也、中田秀夫、周防正行がちょい役で出ている。

郷愁をさそう
気持ちはわかる。
いいたいこともわかる。
ミポリンもすてき。
(また松たか子もすてき)
こんな役だけで勿体無い
柳川もいい町。
レトロなのもすてき。
でも、でも、映画としてはなぁ・・・

ヨーコの不思議キャラの造形が出来ていない。
演出家竹中直人の不徹底さが悔やまれる。あまり
に美人女優を起用するのも良し悪しとなったしまった。
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