ミラーズ

蜘蛛の街のミラーズのレビュー・感想・評価

蜘蛛の街(1950年製作の映画)
5.0
脅えるサンドイッチマンと1950年東京

敗戦から5年後の東京が舞台。

寺尾聰のパパ宇野重吉が、犯罪に巻き込まれるサンドイッチマン役(特撮ヒーローや芸人では無い)で、怯えたり苦悩したり逃げたりする。

ロケ撮影が多く、戦後すぐの銀座の街や家族で行く多摩川園なる遊園地のアトラクション風景も見所。

夜の団地でのコントラスト強めの映像の逃走チェイスは、撮影も奮っていて面白いが、主人公が物陰に隠れてから最後に現れるまで、カットされているのか、唐突感が強い。

冒頭の豪雨中を走る車の車内や団地のチェイスシーンにガンガン流れる音楽が、モロに伊福部昭サウンドで、怪獣映画の様に少しくどい。

当時の生活を偲ばせる団地内のセット美術が良い。

鈴木英夫監督の初期作品だか、テンポもカット割りも、のちの才気が感じられて見所もありだが、犯罪組織の行動が若干緩くて仲間割れまでするので、主人公の危機は弱めだが楽しめます。