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第三の男のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

第三の男(1949年製作の映画)
4.0
ミステリー作家グレアム・グリーンのオリジナル脚本をキャロル・リード監督が映画化した、サスペンスの名作。
原題: The Third Man (1949)

第二次世界大戦後の米英仏ソによる分割統治下、闇取引がはびこる荒廃したウィーンが舞台。
米国の三流作家ホリイ(ジョゼフ・コットン)は、親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)に呼ばれてウィーンにやって来るが、ハリーは自動車事故で死亡したと聞かされ葬式に立ち会う。
葬式の後、国際警察のキャロウェー少佐(トレヴァー・ハワード)から、ハリーは闇屋であると聞かされる。
信用できないホリイは死の真相を探るうちに、事故現場に"第三の男"がいたことがわかる…。

その男の顔が照らされる、
大観覧車、
終盤の地下水路での逃走、
ラストの中央墓地の並木道、
これらのシーンでの光と影と構図を効果的に用いたカメラワーク。
原作と違う有名なラストシーンは、原作者グリーンが"監督リードの見事な勝利だった"と言ったとおり、映像的には大成功。
アントン・カラスの民族楽器ツィター演奏によるテーマ曲も印象的(使われる音楽はツィターの演奏のみ)。

ジョゼフ・コットン、オーソン・ウェルズ、トレヴァー・ハワード、そして、ハリーの恋人のアンナ役のアリダ・ヴァリともに、個性を発揮している。

「下を見ろ。あの点の一つが永遠に動かなくなっても、哀れだと思うか。もし点1つ止まる毎に2万ポンドやると言われたら、お前、その金を受け取るんじゃないのか。しかも税金なしでな」
Look down there. Tell me. Would you really feel any pity if one of those dots stopped moving forever? If I offered you twenty thousand pounds for every dot that stopped, would you really, old man, tell me to keep my money, or would you calculate how many dots you could afford to spare? Free of income tax, old man. Free of income tax – the only way you can save money nowadays.

「イタリアはボルジア家の恐怖政治の30年間に、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチやルネサンスを生み出した。一方、スイスは愛の国だが、500年の民主主義と平和は何を生んだ?○○だよ」
You know what the fellow said―in Italy, for thirty years under the Borgias, they had warfare, terror, murder and bloodshed, but they produced Michelangelo, Leonardo da Vinci and the Renaissance. In Switzerland, they had brotherly love, they had five hundred years of democracy and peace―and what did that produce? The cuckoo clock.

「会いたくもないけど、彼は私の一部なの」

「自分の顔を見ることね。裏切り者の顔をしてる」
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