アニマル泉

そして人生はつづくのアニマル泉のレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
4.5
キアロスタミは「坂道」と「俯瞰」の作家だ。本作も「友だちのうちはどこ?」と同じくジグザグ道や坂道が頻出する。曲がりくねった坂道を走る黄色の車がいい。色でいえば水色の服や水色の壁が美しい。冒頭はゲートを車が通過するタイトショットだ。サイズの切り取り感が強烈だ。画面から人物が見切れても構わない。移動する車の車窓もひたすらタイトショットだ。そこへ車の騒音がオフで被る。音源にカメラを振るわけでもない。コーラを買う場面は、タイトショットのまま金を置きコーラを取ってフレームアウトするワンカットのみだ。とてもブレッソン的である。そしていきなり大ロングになって車の走りを描く。このメリハリが魅力的だ。ラストの長い俯瞰ショットは「オリーブの林をぬけて」のラストカットに通じていく。葉の揺れる影が官能的だ。音楽はほとんど無し。トンネル走行中の暗闇で眠る少年、そこにタイトルバックが入る。
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