これはドキュメントか、フィクションか。まるでわからない。瓦礫を片付ける人々、ところどころに傷のある子供達は生々しいが、ロングショットの絶景は明らかに意図されたものだ。しかし、間違いなく地震は起こったのだ。
淡々とした中で、ひたすら車は走る(キアロスタミは本当に車が好きだ)。行く先々で出会う人々は、確かに何人かは顔見知りなのかもしれないが、それにしても気さくだ。イランの人はみんなこうなのだろうか。そういえば、「桜桃の味」に出てきた人たちも気さくだった。
村の人々からは、ただただ生きていく意志がストレートに感じられる。みんな「友だちのうちはどこ?」のことをちゃんと覚えているのも印象的だ。
曲がりつつも道はどこかへ続いていく。坂道も、諦めずに行けばきっと登れるかも知れない。ヴィヴァルディの曲は邪魔くさい気はするが、それでも人生はつづくのだ。