J四郎

ディパーテッドのJ四郎のレビュー・感想・評価

ディパーテッド(2006年製作の映画)
4.1
スコセッシ監督作の潜入捜査もの。
とはいえ、この人の作品だけに単純な刑事ものではない。
ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンと出演者も見応えがあるラインナップ。
確かこれって香港ノワールが元やったかな?そっちは観ていないけど。

そこそこ長い映画だけど非常にテンポ良く進む。
警察と犯罪組織、それぞれにネズミって呼ばれるスパイが潜り込んでいる。最初っから誰がネズミなのか分かっているので、そこを解明していくお話ではない。
でも、コイツらって真っ先に疑われないか?って思ったけど。

彼らはお互いに誰がネズミなのかまでは分かってないので、ニアミスするシーンは実に緊迫感に溢れている。
投げつけられるアヒルのオモチャとか、ジャック・ニコルソンのこれ見よがしのIRISHシャツとか所々マヌケなユーモアで笑わせてくれる。

潜入捜査で心を蝕まれていくディカプリオの演技が見ごたえがある。
表情が迫真すぎてちょっとギャグになっているが。
彼は組織に潜ってるうちに次第にアイデンティティが崩れていってるようだ。
終盤のある場面で「お前は俺を知っている」って台詞が印象的。
潜入捜査ってもんがどれほど非人道的かをブラックに描いたって印象だな。

終盤のオチが中々にショッキング。
ネズミがネズミ算で、最後もネズミが映ってるしネズミーランドかそこは?

ボストンが舞台でアイリッシュマフィアが題材の裏社会もの。
ジャック・ニコルソン演じるコステロは実在の犯罪王ホワイティ・バルジャーがモデル。
この男は最近、「ブラックスキャンダル」でその人生が映画化されている。この映画が作られた頃はまだ逃亡中だった。
あっちを観ればこのオヤジがどれほど恐ろしいヤツかより分かるし、この映画だけでは分かりにくい警察とマフィアの関係性も理解できる。というか実話の方がもっとトンデモない。

これを観た当時、リメイク元を知っている友人はそっちの方が良かったって言っていた。が、わしゃそっちを知らんのでかなり楽しめたもんだ。
改めて観ても映像の細かいとこまで凝ってるし、ラストの展開なんぞも好みのタイプですわ。
J四郎

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