九月

ファイト・クラブの九月のレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.7
20年以上前の名作を初めて観て、全然想像していたような内容ではなかったことと、この物語がどこへ向かっていくのか着地点が分からず最後まで読めない展開だったことにびっくり。
それも、ファイト・クラブの存在を知っている人たちがファイト・クラブのルールをきちんと守っているおかげなのか…?

観ていて、頭を殴られたような感覚になった。口の中は血の味がして、酸っぱいものが込み上げてくるような気がする…これぞ映画だなぁ。改めてフィンチャーすごいなぁ、としみじみ。

エドワード・ノートン演じる主人公の目線で、次々と降りかかってくる出来事に対峙し、時には身を任せ、途中までは本当に何が起きているのか…?という気持ちだった。そんな気持ちで観ている中にも、サブリミナル効果や不安を煽るような映像が散りばめられていて、途中くらいから見終えてしばらくしてもずっとドキドキしていた。

定職に就き物質的には恵まれているが、時間やお金などいくら消費しても満たされない主人公が、死と隣り合わせになって初めて生を実感する。
不眠症の彼が語る物語は、夢なのか現実のことなのか、だんだん分からなくなってくる。
夢と現実、理想や幻想が詰め込まれていた。

資本主義、物質主義、消費主義に物申すかのようなラストまで見て、今よりも物や他人に執着していた頃の過去の自分にこの映画を観せてやりたくなった。執着しすぎるのって馬鹿馬鹿しいな…

おそらく拾い切れていないくらいに散りばめられているものや、仕掛け、映画の手法がたくさんあったと思うので、また何回も観たくなりそう。
途中タイラーたちの住まいで、階段を降りる人と部屋を出て行く人が同じ画面に映される場面、さりげないワンシーンだったけれど、なんだか不思議だった。
九月

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