すずき

ファインディング・ニモのすずきのレビュー・感想・評価

ファインディング・ニモ(2003年製作の映画)
3.9
舞台はサンゴ礁。
一夜にして愛妻と399匹の子供を失う悲劇に見舞われた、カクレクマノミのマーリン。
彼は唯一生き残った息子ニモを溺愛した。
だが、ニモはそんな過干渉かつ束縛する父親を嫌がり、父親の静止も聞かず人間のボートに近寄り、攫われてしまう!
マーリンはニモを探して、1人大海原へと旅立つが…

ピクサーアニメーション第5作。
おもちゃ、虫、モンスターと来て、今回は魚たちの世界が舞台。
今回久々に見返してみたら、以前見た時よら面白く感じた。

主人公マーリンは、家族を失ったトラウマから、ニモに対して過保護過干渉の毒親になりかけている。
そんな彼がニモを探す旅路で変わっていくロードムービー。
そして彼の旅路の相棒となるのは、ナンヨウハギのドリー。
健忘症とおそらく躁病を患わっており、しかし善人で、シンプルに頭おかしい。

マーリンの旅と並行して、人間に連れ去られたニモの側でも、水槽からの脱出ストーリーが描かれる。
ニモは生まれながらに片ヒレが極端に小さいハンデを持っている。
そしてそんな彼と似て、後天的だが身体の片側に大きな傷を負ったツノダシのギルと水槽の中で出会う。
彼、ダンディでカッコいいんだ。
父親役が不在だったニモに、父性を教えるキャラクター。ガンダムで言うとアムロに対するランバラル。

これらのように、この世界のキャラクターの多くは、身体か精神のどちらかに問題を抱えている。
しかし自然界ではそういったものは珍しいものではないのか、みんなが個性のままに伸び伸びと生きている。
食うか食われるかの殺伐さも存分に見せながら、差別のない優しい世界でした。

あと映画の進行に合わせて、海の色が変化していく演出も面白かった。
安全なサンゴ礁から、危険な外洋、恐怖しかない深海と、海の暗さで映画の雰囲気をコントロールしている。
そして旅の終点、シドニーの海は悲しい色やね…