猫とフェレットと暮らす人

誰も知らないの猫とフェレットと暮らす人のネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

なかなかの重みを感じる。
好みで合う合わないがあると思いますが現代の日本人は見るべき映画ですね。

とてつもなく悪い人は出てこない。しかしながら、良くない。良くなくなっていく過程がドキュメンタリーのように描写されてて、それが、また、伝わってくるものがある。

実際にあった「巣鴨子供置き去り事件」が基になってるのでリアリティーもあり、かつ、淡々と描かれる中での子供達の笑顔もあり、徐々に辛くなっていく。
外国のスラムなどではなく、先進国とされる日本(1988年)で起こったという事に社会とは何かと考えされせられる。

子供達の演技は素晴らしい。たまに見せる笑顔と、無表情という表情がなんとも言えない。
是枝監督があえて子供達には台本を渡さず口頭で演出したのが素晴らしい雰囲気を演出できてて凄い。

長男(柳楽 優弥)の友達作りたくてゲームを買ってしまって。友達が家に来て。他の兄弟姉妹の表情が何とも言えない。でも、あの年頃ならそうしちゃうよね。良くないけど友達と遊ぶのとか楽しいもんね。
相反してお母さんの衣装と共に引きこもってしまう長女(北浦 愛)の表情が沈黙ではあるが何かを思う感じがいたたまれない。

また、あえて完全な悪者を作らないって監督の趣旨も伝わってきたので、それも、辛さを増している。
母親が悪いのか?母親を捨てた父親が悪いのか?あの子供達の周りの大人が気づかないのが悪いのか?子供達を引き離すしかできない社会の制度が悪いのか?
誰も悪くなく仕方ないのか?
考えさせられますね。

自分が関わることになってしまったら大人として何か出来たのか?出来なかったのか?
私は知らないふりしてしまうと思う。それが悪いのか仕方ないのか?

色々な人が見て緩やかでも社会全体として助けれるようになればと、他人任せにしてしまう自分がいます。

いい映画です。