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気狂いピエロのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

かつての恋人と逃避行をする男の話。

なんとなく難解な印象のあるゴダール作品ですが、本作の本筋自体はボニー&クライド的な男女の逃避行モノなので、そこまで難しくは感じませんでした。

それよりも気になったのは、演出や編集の部分。
死体が出てきても説明しなかったり、シーンの前後があべこべになってたり、音楽が途中でブツ切りにされたり、登場人物が観客に語りかけてきたり…。
非常に前衛的と言いますか、映画の定型を崩す様な演出&編集が面白かったですね。

また、お話的にも男女の逃避行をベースにしつつ、サスペンスがあれば、アクションもあるし、ロマンスもあれば、コメディーもある。
このジャンルを横断し引用する感覚というのも、非常に現代的で今の映画にも通じるところと言えるでしょう。

総じて本作からは、映画に対する批評性をすごく感じたし、タランティーノの映画を連想したりもしたんですけど、ゴダールが元々は批評家だった事&タランティーノがゴダールの影響を受けてる事を知って納得しました。

タランティーノがそうだった様に、当時の映画界からしたら相当攻めた事をやったんだろうし、確かに今見てもオシャレでカッコ良いものがあります。
ただ、タランティーノのボンクラ趣味とは違って、かなりインテリ趣味が背景にあるので、どこか上から目線といいますか、鼻につく部分もありますけどね。笑

その他、トリコロールカラー中心の配色だとか、アンナ・カリーナへの愛憎だとか、フェルディナンとゴダール自身の最期とか、いろいろ語るべき事はあるのですが、長くなるので割愛。(気になる人は調べて下さい)
ゴダールの作家性がよく出た作品だと思うし、中身もそんなに難しくない上に、見た目はめちゃめちゃポップと、ゴダール初心者が最初に見るには丁度良い作品なのではないでしょうか。
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