このレビューはネタバレを含みます
人工授精、堕胎、心臓移植、交通事故、復讐、自殺……はたまたペットを買い与えることすらも、人工的・人為的な命のやりとりで紙一重だ。
本作の切り貼りされたような編集もそうだろう。ギミック然として人工的・人為的。
神の見えざる手というか、編集の見えざる手が各キャラクターの人生に伸びているように思えた。
(そう言葉にしてしまうと、作中に取り沙汰される生命を何か不自然で無機質なモノと捉えているように聞こえてしまうけれど、勿論そう思っているわけじゃない)
観終わってすぐの時は救いのない話に感じたけれど、こうして振り返ってみると主人公ポールはようやったよ……と思う。
彼は心臓移植によって与えられた僅かな時間で、クリスティーナとジャック、二人の人間の人生を取り戻してみせた。たとえそれがポール本人の意図したことでないにせよ、彼が二人に及ぼした影響は21g程度じゃ計り知れないものであるのは間違いない。
まさしく、“それでも人生は続く”という希望をほんの少し見出だせる、美しいラストだったと思う。