りりぃ

鑑定士と顔のない依頼人のりりぃのネタバレレビュー・内容・結末

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 女性を解き放ったつもりでいたら、逆にさらわれてしまった話だった。
贋作に塗れた作中の中で、最後に残された機械人形(オートマタ)が主人公と重ねられて虚しい。けれど誰かを愛したという主人公の体験だけは偽物の展開の中の真実であり、それは機械人形には出来ないことであるのが唯一の救い……になるわけもなく(笑)
 映画が始まった瞬間からずっといやな予感がしてて、ほれ言わんこっちゃない!!となりつつ、美術品を映すときの神秘的な音楽や、画面に映る美術品は映画用に用意されたレンタル品の小道具であれ、大掛かりな詐欺のためのものであれ美しい。
無菌感が漂う画作りも虚しい結末を迎える作品のトーンや主人公ヴァージルの人物像に重ねられて面白かった。

 クレアが機械人形だった!?みたいなオチかと思ったらめちゃくちゃ普通に詐欺師が詐欺に遭った話でした。
芸術品に囲まれた孤独のほうが良かったのか、それとも誰かを愛したという体験のほうが尊いのか。
少し前者の気質がある自分にとっては「う〜ん……私の人生別にこのままでもいいかも……」なんて考えてしまいそうな作品でした(笑)
りりぃ

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