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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのinazumaのレビュー・感想・評価

4.6
ホラー!? SF!?
崩壊しかけの巨大建造物、巨大な戦車、戦争直後かのような荒廃した地で、水浴で戯れる少年少女たち…そんな中なぜか奇妙なポーズで直立不動の主人公あたる…開幕早々、これはとんでもない映画だと実感。

初見ですが、この懐かしい感じがたまらん。異様で大胆でノスタルジックで、大好物な演出の数珠つなぎ。これは本当に「うる星やつら」か!?笑
アニメでしかできないことはたくさんあって、技術が進化・進歩した現代のアニメも凄いですが、粗い画質からカオスな演出を次々繰り出す昔のアニメの方がエネルギッシュでワクワクする!(『究極超人あ~る』のチャリンコクライマックスとか最高!)
冒頭の学園祭準備に明け暮れる生徒たちのワチャワチャ模様からして素晴らしい。あのカクカク感というかコマ送り感が、大混雑の表現を最大限に引き出してると思います。
本作はどっちかというとホラーな演出が印象強いです。人がいなくなり静寂となった街の描写も子供の頃みたらトラウマになってただろうな。ドラえもん映画『パラレル西遊記』や『宇宙漂流記』の激コワ日常変貌描写とはまた違った怖さ。いちばん大好物だったのは中盤の白昼夢でのノスタルジック・ホラー演出乱れ打ち!風鈴の大群や、人を引きずり込む水溜まり、そしてそれらを遠くから眺める謎の人物(未だに誰か分からず)…こういうの!もっとこういうのが観たい!何でもアリの夢描写は、ダイナミックな表現の『パプリカ』も好きですが、それと対称的な本作のとても静かな表現がより本物の夢に近いと思います。

「うる星やつら」は子供の頃に再放送でみたぐらいで、名前と顔を認識してるキャラクターは、子供の自分をまんまと悩殺したラムぐらい。他の皆さんはまったく記憶なしでしたが、それでも開始10分ぐらいで人間関係含めどういうキャラクターなのか分かります。劇場版1作目も観てないですが、この2作目から観ても全然楽しめます!ただ1作目も押井守作品ということなので、いつか必ず観たい。
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