TAK44マグナム

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

4.2
80年代の傑作アニメ映画のひとつ。
「うる星やつら」という題材を使って、初期監督だった押井守が好き勝手に解釈しちゃったものですが、「マトリックス」なんかよりも何年も早くに「いま生きている世界は夢なのか現実なのか?」という、誰もが一度は夢想しがちなファンタジーを真正面から描いております。

前半の、友引町の不気味な夜の雰囲気や、後半の世紀末的であり尚且シュールな世界観など、これはこれで「うる星」ワールドとの親和性は決して悪くないとは思うのですが、賛否両論であることも事実。
ちゃんと、面堂の恐怖症ギャグや、しのぶの怪力ネタなども織り込んでいるのですが、必要以上にシリアスであり、恋愛に比重がおかれすぎているのが一部では問題視されていたみたいですね。

この時代にすでにこれだけSFであり、ファンタジーであり、観念的で哲学さえ感じさせるようなアニメ作品をメジャーな世界で作り上げた功績は無視できないと思います。
こういった作品の積み重ねが、現在の日本のアニメや漫画、ゲームなどのサブカルチャーを形成しているわけですので。

と、色々言いつつも、まだまだ押井作品の中でもわかりやすさは抜群ですし、普通に今観ても面白いです。「うる星」を知らない世代には厳しいかもしれませんが、原作の高橋さんはまだまだバリバリの現役ですし、本屋行けば普通に「うる星」の漫画買えますから、これから知って、テレビ版や劇場版にどっぷり浸かるのも良いかもしれません。

このたび発売された待望のブルーレイ版を購入して久しぶりに視聴したのですが、内容は良いとして、ブルーレイにしては画質は残念でしたね。発色とかは精細さを感じられるものの、フィルムのキズやゴミの徐去は、ほぼ手付かずだったみたいで、暗部ではチラチラとキズやゴミが目立つ仕様でした。
音関係は、まあまあ良かったんですけどね。
古いアニメだから仕方ないのかもしれませんが、これぐらい名作だの傑作だのって言われている作品は、それなりの仕様で製作してほしいところです。


レンタルビデオ、セル・ブルーレイにて