Benito

ブリットのBenitoのレビュー・感想・評価

ブリット(1968年製作の映画)
5.0
【 すべてにおいてクールな刑事ドラマ 】

スティーブ・マックイーンは誰もが知る60年代、70年代のトップスター。その彼の代表作のひとつ「ブリット」はあまりにもクールでカッコ良すぎる!!

イーストウッドの「ダーティー・ハリー」より前に登場したアンチヒーロー的な刑事像はマックイーンが先に演じていたところだし、野心家上院議員(ロバート・ヴォーンのハマり役)に利用され、権力に反発するくだりは映画史上何度繰り返された事か…
多少、話はややこしいけどそれを払拭する魅力がこの映画にはある!!

ファッションがクール👍
ツイードジャケットにタートルネックニットを合わせたブリット刑事の装いが最高にクール、マックイーンのセンス流石。マックイーンはどの映画もファッションは自分のセンスを活かしているから好き。

音楽がクール👍
ラロ・シフリン、あの「燃えよドラゴン」や「ダーティーハリー」のジャズミュージシャン。独特だけどシンプルなベース・ラインにブルージーなエレキギターが重なり、そこにビッグバンドのサウンドが展開されるカッコ良さ、シフリンの魅力爆発の 'ブリットのテーマ'は劇伴を超えた楽曲、Jazzの名曲なんじゃないかな。

カーアクションがクールすぎる👍
当時新車のマックイーンが乗る68年型フォード・マスタングGT390、そして悪役が乗る68年型ダッジ・チャージャーによるサンフランシスコの急な坂道やハイウェイで繰り広げられるカーチェイスは衝撃的。ストイックなまでにエンジンやブレーキやギアの音しか聞こえない、そこには劇伴もない、どこかドキュメンタリーのようにスリリング。その迫力と長さは映画史上屈指のスタントとして神格化され、その後のアクション映画には相当影響を与えているのは確か。そしてあのニヒルな表情の殺し屋役のビル・ヒックマンは本職はスタント・ドライバーだけに運転シーンはリアリズムが漂ってた。だから終盤の飛行場のシーンも相当迫力があったのに、中盤のカーチェイスがどうしてもクライマックス感があるのはしょうがないかも…

俳優もキャメラもタイトルもクール👍
国際派スター女優のジャクリーン・ビセットがマックイーンの彼女役という贅沢さ、更にはパジャマ代わりのワイシャツがクール。
キャメラのウィリアム・A・フレイカーは「ローズマリーの赤ちゃん 」や「シャーキーズ・マシーン」など手掛けた光と影を使い分ける技巧派で、夜のオープニングシーンでは特殊広角レンズにギャングたちの姿が映され、実はそれがランプの傘に反射しているカットなんだと思ったら、メイン・タイトルの文字が寄ってきて、そのタイトルが切り抜かれると、次のシーンに移るというクールさというか斬新さ。これはフレイカーの撮影のスキルもあるけど、タイトルデザインのベテランであるパブロ・フェローのセンスの賜物なんだと思う。デザイナーのパブロはマックィーンの「華麗なる賭け」も担当した人、スプリットスクリーンの見せ方は「ブリット」と並ぶクールなタイトルデザインだったと思う。凝ってるな〜 60年代。こんなセンス近代の映画は敵わない。

もちろんこの作品を纏めた元プロレースドライバーだった監督ピーター・イェーツの
クールな演出の功績は大きいし、おかげで今観ても色褪せない68年の作品になってると思う👍
Benito

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