このレビューはネタバレを含みます
ニュースコセッシ3Dシネマ
2012年3月25日 15時12分レビュー。
原作ブライアンセルズニック。製作ジョニーデップ他。製作、監督マーティンスコセッシ。
なんとスコセッシが3D?
「タクシードライバー」や「グッドフェローズ」や
「カジノ」で暴力とラブと組織抗争を描き
「クンドゥン」「最後の誘惑」で牧師さんになりたかったスコセッシらしい真摯な宗教映画をとり
ブルースのルーツをたどる「ブルースムービープロジェクト」
ファンから絶大な人気を獲得した「ローリングストーンズ、シャインアンドライツ」
ザバンドの解散コンサートを収録「ラストワルツ」
ボブデュランをたどる「ボブデュランノーデレクションホーム」と
音楽愛溢れる力作を作り
リメイク・続編作品「ケープフィアー」「ディパーテッド」「ハスラー2」でメジャー製作シネマを当てて
私が見るにスコセッシの正統派ヒッチコック映画リメイク「シャッターアイランド」でまたもやヒットを飛ばし、スコセッシは、また新たな映画ステージになってきているなぁ、とっても精力的に新しい変革をしているなぁとスコセッシファンとしてみていた、矢先の本作。
ニュースでは、アカデミーノミネート、3Dの鬼ジェームズキャメロンのベタ誉めコメントを横目にしながら、どうしても「3D字幕版」で鑑賞希望。ご夫婦連れが多く来場。通常鑑賞してまいりました。
大変、スコセッシらしい3D作品でしたぁ。
ぶっちゃけ、映画のはじめを魅せてやるよ、スリーのディーでという映画であります。
要は映画の物語、ある映画人の物語であります。
ヒューゴの不思議な発明なんて聞くと不思議発明で大騒動、ワイワイガヤガヤで3D、飛び出てドタバタこんにちわ的な物語を想像しますが、
少しもありません。
なんで、
映画の人の物語に興味ないと
つまらない恐れ
は、十分出てくると思います、ご注意ください。
映画のバックステージ物、ある映画人物のパリでのお話でございます。私は勿論大満足。さながら劇場で体感する
サイレント映画のスコセッシの講義のような
それをヒューゴ少年と
もはや「キックアス」女優のクロエグレースモレッツの素晴らしい訳あり友達関係を軸に
映画は、紐解かれ、機械しがけのニューシネマスコセッシ物語が3Dに展開します。
スコセッシのこの「3D」具合、私は、必見だと思いますよ!新しい見せ方に見えました。
派手さや、奇抜さは、全く無し。
地味で湯気や、雪や、スーパーズームに物語を進捗させ、素敵な飾りのごとくスコセッシ3D仕様は魅せてくれますよ!
良かったなぁ!
映画ネタでは、映画のはじめ
フランスのリュミエール兄弟の「列車の到着」
エジソンキネトスコープの「大列車強盗」の有名シーン
わがチャップリンの「犬の生活」それから
奇術師であり世界で初めてのSFX、ジョージメリエス作品がふんだんに見れます、必見!
なぞの男で店主にベンキングズレー
訳ありヒューゴの友達に可愛いクロエグレースモレッツ
ヒューゴ役の少年も大変良かったです。反骨ぽい、こだわりずるがしこい、たくましい少年でありました。
あとヒューゴ取り締まり人のサシャバロンコーエン。劇中一カ所サシャバロンコーエンの顔面が
めちゃくちゃ迫って飛び出てくるシーンがあります(笑)
もりもりズームで飛び出てきて爆笑。怪物かよってつっこみいれてびっくり爆笑してしまいました。
スコセッシは3Dをあくまで
「物語を飾る要素」として取り入れています。
造形物や怪物を3Dにする今や流行りの手法でなく、
あくまで物語をドラマチックに盛り立てるお供え物に近い存在に見えました。
それがだけど素晴らしく効いていた気がします(邦画もこのように3D真似すればいいのになぁ)
ヒューゴが魅せる時計仕掛けのニューシネマスコセッシ3D
ニュースコセッシ3Dシネマ
是非
劇場でヒューゴがもてなす映画の旅、ご覧ください!
追記
スコセッシは、劇中同様大学で映画の教示したり、フィルム修復したりしています。
ビスコンティの幻の作品「ナポレオン」の修復や「イタリア映画旅行」なる映画の映画製作をしたりする筋金入りの映画作家であります。
追伸
3Dなんて絶対興味ない映画ばかり撮ってきたスコセッシなんで、こんなに素敵なスリーデーを控えめに魅せてくれた事が、私はとってもうれしかったです。
しかも映画人のお話ですからね、さながら「ニューシネマパラダイス」ならぬ、ニュースコセッシ3Dシネマに見えました。