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ジョゼと虎と魚たちのrmhチョコがけのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)
3.5
韓国映画を観た後、どうしても気になって眠れなくなったので日本版を観る。

途中くらいから、あーこれ韓国版の500倍くらい良いわって思い始め、ラストまで観てこのオリジナル版のほうがやっぱり良かったと思う。

韓国版で減点した部分がもれなくオリジナルでは描かれていて、そしてこれも邦画によくある手法でとても間接的な描き方なんだわな。
そこがニクかった。良い。
恒夫の人間性、ジョゼの覚悟など、本当に上手く描いていた。韓国版は有りか無しかの二択って感じで、余白がないかな。

美しさで言えば韓国版、作品の奥行きで言えばオリジナルが優っている。
世界観やラブシーンは圧倒的に韓国版のほうが美しかった。ちょっと不幸過ぎる描かれ方だったけれど。
オリジナルは大阪が舞台でジョゼやおばあちゃんが関西弁を話すあたりでややコミカルさがプラスされている。
呼吸さえ苦しくなるような切なさは、ない。

それぞれに良さはあったと思うが、気になるのは原作のキャッチ的な文句“2人のエロティックな関係”ってやつ。
両作品とも、そこまでエロティックではなかった気がする。
オリジナルのほうがちょっと生々しかったけれど、普通かな…

やはり最後は原作に当たる。


※田辺聖子の原作読んでからの3作品比較
〜〜ネタバレ〜〜


原作は、恒夫とジョゼが別れてない…、だとぉ⁈
なんと私好みなエンディング!
何故映画2作品は“別れ”というラストにしたのだろう。それを考えてしまう。

私の解釈だが、まず韓国版はジョゼからの訣別のように見えた。
あの取ってつけたような下手くそな水族館シーンで。
ナム・ジュヒョクの泣きの演技は最高だったが。あそこやジョゼの言葉から、ジョゼ側から離れていったのかなと。

そしてオリジナル版は恒夫のナレーションで“別れた理由はいろいろ、ってことになってるが、要は僕が逃げた”って言ってるから、恒夫から離れたことが分かる。

原作は別れてないけど、ジョゼの覚悟は書かれている。
“恒夫がいつ去っていくか分からないけれど”と。
だから、オリジナル版のほうが忠実なのかもしれない。

そして“エロティック“の意味が分かった。
たかが30Pほどしかない原作が一番エロティックだった。
それは、ジョゼの足が不自由な身体の描写に性的な要素を乗せているからだ。
そしてそれを言葉のみで表しているからかもしれない。
もしあれを映像化したら、…かなり踏み込んだ表現になるし、炎上覚悟にはなるかも。
でも、そこまで踏み込まなくてももっと違うラブシーンの描き方なかったのかな?と思う。
韓国版は雰囲気だけはうまく撮っていた気はする。
一番エロティックじゃないのは、オリジナル版だった。