髙橋佑弥

コッポラの胡蝶の夢の髙橋佑弥のレビュー・感想・評価

コッポラの胡蝶の夢(2007年製作の映画)
4.5
話運びの出鱈目さが素晴らしい。特定の原作があるのだから、その筋書きから逸脱はしていないのだろうが、映画だけを見ていると幾つもの毛色の違う短編を無理矢理に連結させたかのように話が進む…当然ですよという顔をして。病院で治療を受けていたかと思えば、ナチ×諜報モノ風になり、気付けばサンスクリット語の学者としてインドに行ったりし、王道のメロドラマに足を踏み入れたかと思えば…と、言う具合にめまぐるしく。

作り手本人が語っているように、根本的には(風格がありすぎるだけで)所詮『トワイライト・ゾーン』的な物語であり、諸々ギミック=超自然的能力描写もちゃんと逃げずにやっている。実はかなり直球のSFジャンルの映画。大好き。

コッポラは『胡蝶の夢』『テトロ』『ヴァージニア』の"復帰後"三作こそが、明らかにベストワーク(『ワン・フロム・ザ・ハート』も好きだけれど)。

2020/08/01
髙橋佑弥

髙橋佑弥