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悪魔のような女のtakのレビュー・感想・評価

悪魔のような女(1996年製作の映画)
3.2
アンリ・ジュルジュ・クルーゾー監督のサスペンススリラーの傑作をハリウッドリメイク。私立学校を経営するパワハラ夫ガイ殺害を計画したのは、妻ミアと夫の愛人である同僚教師ニコル。薬物を混ぜた酒を飲ませて溺死させた後、学校のプールに遺体を沈めた。しかしプールの水が抜かれると遺体は消えていた。遺体はどこへ?夫は生きているのか?不安になる妻と気丈に立ち振る舞う愛人。そこに私立探偵の女性シャーリーが現れる。

オリジナルは随分前に観ていて、モノクロのシャープな映像と戦慄のクライマックスが強く印象に残っていた。リメイクたる本作の魅力は何よりもキャスティングだろう。ニコル役はシャロン・ストーン、ミア役はイザベル・アジャーニ。

どちらも魅力的な役柄なのだが、その対比は演技だけでなくファッションでも印象づけている。男子校で教鞭とってるとは思えない派手な服装に豹柄のブラジャーのシャロン・ストーンに感じるのは揺るがない自信。一方、心臓病を患う元尼僧役のイザベル・アジャーニは、白のナイトウェアや露出の少ない黒っぽい服装で、大人しさや気弱な印象を与えている。そんな二人だが、ストーリーが進むにつれて気持ちが揺らいでいく様子がスリリング。こういう役者を活かしたキャラクターづくりは、ハリウッドリメイクの上手さだ。

探偵役のキャシー・ベイツも、決めるところでビシッと決めるかっこよさ。ラストシーンは完全に二人を喰ってる。彼女のゆったりとした服装は、見た目よりも楽であることを選ぶ年齢であることや、身体の線を出さない事情があることをきちんと納得させてくれる。いかにも悪党ヅラのチャズ・パルミンテリと言い、役者の使い方は確かにうまい。しかし、オリジナル版で感じた"スリラー"映画と呼べる程のおどろおどろしさはこのリメイクには乏しいのがちと残念。

学校のPRビデオを撮る為に雇われた二人組が出てくる。生徒たちに演出の指示をする黒縁メガネの男性は、後に映画監督となるJ・J・エイブラムス。
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