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ルパン三世 念力珍作戦のbeachboss114のレビュー・感想・評価

ルパン三世 念力珍作戦(1974年製作の映画)
3.0
ジャケ写が俺を呼んでいる。抗うことができないレベルの吸引力は、昭和のダイソン。絶対に死ぬと分かっているのに吸い寄せられてしまう青白い殺菌灯。

というわけで、今、天国からお伝えしています。地獄ではなかったのがせめてもの救い。要するに、非常に残念ではあったが、最悪ってほどじゃなかったってこと。

役者の再現度もしくはハマり具合は意外と悪くない。目黒ルパンとゴロー次元はルックスで、ベンジャミン銭形はキャラで。

ジャケ写から漂う文字通りの「珍」な匂いから、てっきり東映だとばかり思っていたら、まさかの東宝だったでござる。

演出や設えはサラリーマン喜劇な東宝の香りだが、脚本や役者がヤクザでフーゾクな東映臭。特に女優や踊る修道女キラーズ。安くてエロくて脂っこい。果てしない「使い捨て感」と「やっつけ感」。大部屋ケータリング・キャスト。

いくら頑張ってもスラップスティックが「スクラップ」スティックになってしまうのは、邦画の性というか宿命というか宿痾。頑張れば頑張るほど哀しい結果に。

ギャグは総じて昭和の夜8時台のバラエティ番組(最後に全員がデーンってひっくり返ってオチつけるヤツ)。「スパイ大作戦(最近はミッション・インポッシブルと言われているらしい)」風の指令の声が大平透ご本人だった点は評価するが、だからって笑えるわけじゃない。感覚的には「ミュート」「フラット」「リセット」「ニュートラル」「真顔」「素」「虚空」「凪」。

「いや~ん、私、峰不二子じゃなくて浅間ヤマ子よ」の直後に山が映って浅間山のテロップが出るという、どう反応すれば良いのか分からない唖然とするような空振りが、かえって斬新だった(本当にそういう女優がいたのかと思ってググってしもたわ)。
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