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TOMORROW 明日の教授のレビュー・感想・評価

TOMORROW 明日(1988年製作の映画)
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うーん。
子供の頃に観て、大人になって改めて観て。
そして3回目の鑑賞。

現在の心境での感想として。割と思想性の高い映画な気がした。
長崎原爆投下の24時間前から投下までの物語。
「明日」という存在の絶望感と、対比されている「日常」の風景。
しかし物語の中にある日常はすべて虚構であるために、当時、あったかもしれない結婚、あったかもしれない出産、日々の仕事、恋、そんな出来事にはある一定のリアリティがあるが、少し「日常」の要素を劇的に詰め込み過ぎてる気もする。

結論ありきの物語なので、どうしても悲劇性を帯びてしまう分、やはり、演出としてはもっと、淡々としていても良いと思うし、その上で、結婚とか出産とか、女学生の恋に絞った上で他のエピソードはもっとさりげなくていいと思った。

悲劇として原爆が投下されて容赦なく映画は終わる。それは、大変に潔く、また、恐ろしい。そこは良かった。

本作はテーマ性以外のところで、キャスティングが良い。

若き佐野史郎や黒田アーサーなんかも良いが、突出してるのは女優陣、
特に、南果歩、仙道敦子は個人的に、どうしても、どうしても愛おしさすら感じるほどに美しい。

あと、娼婦役の伊佐山ひろ子の棒読みの物凄さと、対して、この頃若くてなんだか、本当に色っぽい。

病弱でいじめられてた佐野史郎は南果歩みたいな嫁を貰えたのに、なんだか苦悩してるイケメンの黒田アーサーは友達もなく、嫁もいない。寂しくて売春宿に行く。
というのもまぁ…良かったといえば良かった。

だけど、ちょっとブレる気もする。

基本的な映像のルックと、出演者の好演と、残酷なテーマ性だけでも充分に良い映画ではある。
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