Kuuta

死刑台のメロディのKuutaのレビュー・感想・評価

死刑台のメロディ(1971年製作の映画)
3.4
サッコ・ヴァンゼッティ事件を描いた法廷もの。
主演の2人、特にサッコ役のリカルド・クッチョーラが良かった。刑務所に入って一度は精神を病むも、最後は子どもへ力強いメッセージを残す。静かなラストとエンドロールは強烈の一言。

舞台となった1920年代はアメリカ文化の黄金期である一方で、移民の増加に伴い人種差別や共産主義を弾圧する風潮が強まった時代。アメリカの暗部、検察と判事の不正義を徹底的に描くタッチは、非アメリカ映画ゆえの力強さがある。ただ全編イタリア語なので、立ち向かうべき「アメリカ」が英語じゃないのは随所で気になった。

結末として有罪になることは歴史的事実として知られているわけで、事件再現シーンを挟むなどの工夫はあるものの、前半の法廷劇は正直少し眠かった。判決後の世界的な反対運動の高まりとそれに対する2人の対照的な反応は見所。「君がただの強盗殺人犯なら話題にはなってない」。シンボルとしての死を美化するのには個人的に強い抵抗があるが、その点この映画は2人の葛藤がきちんと描かれていており、好感を持った。68点。
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