シネフィルmonk

いちご白書のシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

いちご白書(1970年製作の映画)
4.3
バンバンの歌、荒井由実の作詞作曲による「『いちご白書』をもう一度」で知られるアメリカンニューシネマの代表作の一つ。昔、TVで一度視聴したきりで、たまたまビデオマーケットで放映しているのを運よく見つけ再鑑賞📮です。カンヌ国際映画祭で審査員賞を取っていて海外では評価が高いのに日本でなぜか受けず、DVD化もされていない稀少作。

実際に起きたコロンビア大学の学園紛争(1968)の手記をもとに映画化されたもので、ベトナム戦争、人種差別への抗議活動が高まり、学生たちが大学を占拠して立て籠もり警察と対峙する緊張感が青春ストーリーと絡めて描かれる。題名は映画の中のセリフにも登場するが、映画のモデルになったコロンビア大学の学部長が学生の意見や行動を「子供が苺の味が好きだと言うのと同じくらい軽くて重要さを持たないもの」、として見下したものから来ているそうです。

主題歌の「サークル・ゲーム」はじめ良い曲が随所に散りばめられ、当時の時代背景を知るにはとても良い作品です。前半はボート部に所属する主人公のノンポリな学生がカメラ片手に抗議活動を冷ややかな視線で描かれていたのが、女性活動家の彼女が出来てからは一転、左翼的な思想に目覚めて迫力のある闘争劇へと変化していく。双葉十三郎氏の「外国映画ぼくの500本」紹介作です。
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