明石です

ミッションの明石ですのレビュー・感想・評価

ミッション(1986年製作の映画)
4.3
スペイン人の入植者が布教を口実に現地人を奴隷にしていた17世紀の南米を舞台に、人間狩りに勤しむ人でなしの奴隷商人(ロバート・デニーロ)が、博愛主義に満ちた宣教師と、純朴な原住民との触れ合いで会心、神父になって侵略者と戦う話。爽やかなジャケットからは想像もつかない重厚かつ熱な物語でした。デニーロ兄貴がカッコいい映画の私的ベスト5に入りそう。

実話を元にした物語らしいのだけど、ストーリーよりもまず映像の壮麗さに目を奪われる。緑と黄色を基調にした独特の質感に哀愁を誘われ、そこでフルートを演奏するシーンの宣教師に見惚れる。ナイアガラの滝みたいに巨大な滝壺に舟ごと流される冒頭(とクライマックス)の壮観さたるや、、そしてその大自然を舞台に、宣教師率いる原住民vs侵略者の貴族とスケールの大きな最終決戦に。こんな展開が待ってるとは!!

当時の白人がいかに白人でない人間を動物扱いしていたかが残酷なほどリアルに描かれる。「地獄の苦しみより鞭の方がマシだ」と滅茶苦茶な理屈で自分たちを納得させ、原住民を搾取するイエズス会の領主たち。なにしろ同時期のヨーロッパでは、教会が免罪符(お金を払えば天国に行ける!)を売っていたことで人々の反感を買い、プロテスタントが生まれようとしていた時代。神の意思を都合よく解釈することにかけては、当時のカトリック協会の意思の強さは超一級なのでした。そしてその身勝手な理屈に巻き込まれ、村を追われ虐殺される原住民たち(私たちは神の意思で身を粉にして働き、村を作ったはずなのに、今度は神の意思で着のみ着のまま出て行けというのですか?)。もちろん女性も子供も主人公も容赦なく滅多撃ち。さすがは『キリングフィールド』の監督だ、、好き。
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