昼行灯

亡霊怪猫屋敷の昼行灯のレビュー・感想・評価

亡霊怪猫屋敷(1958年製作の映画)
3.8
面白かったなー

時代劇パートにカラー、現代劇パートに紺の調色がされたモノクロが使われている。白黒が過去という固定観念が頭にあるから、その不自然さが怪奇に一役買っている。

中川信夫特有のコントラストの効いたライティング。不自然な角度からの人工照明によって人物の二面性を浮き彫りにしている。障子の外側からシルエットのみで殺人を映すことで、底知れなさを強化している。

怪異の仕組み。猫の真似をすることで化け猫の支配下に置かれたという役者の身体性。化け猫の引力に引き寄せられるかのような人間たちの動き。ショットの構成によって、急に猫耳が生えたかのような演出。オーバーラップによる、幻影の創出。

一見幸せそうなラストだが、猫を買うのもありねという妻のセリフから新たな惨劇も予感させる。再びモノクロパートに戻ったのも怖さ増大。あるいは妻はもう化け猫の支配下にあるのかも。旦那のいる研究室に入るまでのカメラワークは猫の視点のように思えた。ほかにも時代劇パートは天井裏から室内を覗きみるアングルが多用される。吹抜屋台の構図も思い起こさせ、日本的。

悪女と怪猫の結びつきは見られるが、男性の運命を翻弄しているというよりは復讐劇。美人母は復讐の際に化け猫を利用しているため、性的魅力で翻弄しているわけではない。悪=家父長制を不安定なものにするなのだろう。
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