佐藤克巳

お嬢さん乾杯!の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)
5.0
1945〜48年の日本映画の長い低迷期から脱した事を象徴的に示した、俊英木下恵介監督の天に突き抜けるかの様な明朗快活な青春喜劇映画の傑作。また、「河内山宗俊」以来美貌を欲しいままにした原節子にして本年は最高の年となり、この作品は新藤兼人脚本「安城家の舞踏会」の解答であり、小津安二郎「晩春」と対をなす人間讃歌を歌い上げた木下の最高作だろう。没落華族家令嬢原と高知から上京し叩き上げでのし上がった自動車修理工場経営者佐野周二を、元華族の下僕坂本武の仲人で交際が始まったが、一目惚れの佐野とは違い原は、屋敷が抵当に入り、父は収監中で許婚が昨年死んだばかりだった。佐野は、原を幸せに出来る自信もあったが、何かもの足らず鬱積したが、華族家の借金返済と婚約解消を置き手紙して帰郷する。原は、結婚祝いのバーに駆けつけるとマダム村瀬幸子に「好きじゃ駄目、惚れなきゃ」に発奮、「惚れました」の一語を残し、恋人を連れ帰ったばかりの佐野の弟分佐田啓二の車で一目散に駅に向かった。
佐藤克巳

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