TakahisaHarada

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

4.3
過去のトラウマ・葛藤を抱えたまま堕落していたウィルの再生を描く。
ラストのウィルの選択は「生きる」作中のナレーション「その噂や憶測はどれもこれも渡辺氏が大変バカなことをしているという点では一致していた。しかし当人にとってこの間の行動ほど真剣だったことは未だかつてないのである」が思い浮かぶようなものだった。「生きる」で渡辺がとよを追い回したのとは動機が違うかもしれないし、ウィルの場合は天才ゆえに使命を取るか自己実現を取るかという要素があるのも違いだけど、主人公の再生を描いてる点は共通。

ウィルがマクニール社に行く展開はなんとなく腑に落ちないなあと思っていたので、ラストの展開はロードムービーの始まりみたいでオープンだけど希望が持てるなと思った。チャッキー達ウィルを信じる仲間のくれた車で行くのも良い。手紙を受け取ったショーンからも、ウィルが自分を信じて下す決断を待ってたんだなというのが伝わる。

ショーンがウィルを屋外に連れ出した2回目のカウンセリングは、天才だが自惚れが強い臆病者、知性も自信もないという現実をウィルに突き付ける(バーのハーバード生やショーンに対する態度はその裏返し)のが良い。無言の3回目を挟んで4回目のカウンセリングは、ウィルが自分から口を割るのと、最後にショーンの再生に繋がる展開があってこっちも好きだった。
ウィルとショーンの関係ももちろんだし、ウィルの旅立ちを素直に応援できるチャッキーとの関係も良いなあと思う。