シミステツ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

心を閉ざした天才青年ウィルと心理学者ショーンの交流を描いた物語。ノーベル賞級、2年かかって解いた数学の問題をサラッと解いた清掃員のウィル、という才能と境遇のギャップ、そして人物の特徴を掴みにして入り込ませるお手本のような序盤。

暴行罪で有罪となったウィル。ランボー教授の計らいによる監督付き保釈の条件は、毎月教授と会うこと、そしてセラピーを受けること。

「あんたゲイなんだろ」

素行の悪さから手を付けられずセラピストは皆降りていく中、ランボー教授は大学時代のルームメイト・ショーンを口説き落とす。

「100万人に一人の若者なんだ」
「ラマヌジャンはそういう不出の天才だった。この若者もね。だが心を閉じている。心を開かせたい」
「育ちが似てる」
「スラム生まれの天才か」

絵を見て、結婚を誤ったかと亡くなった妻へ侮辱するウィルに怒りを見せるショーン、というのも後半に向けていい仄めかしとなっている。

「君は自分の言葉が分かってない子供だ」

知識はある。美術の話になればシスティナ礼拝堂の匂いや天井を見上げての景観は知らない、戦争だったら本当の戦争も知らない、といったショーンの話が印象的。ここで主題が浮き彫りになってくる。知識と知性、そして人間とはどうあるべきか。知識だけでは不十分なのだということ。

「僕がこう言ったら?”君のなめた苦しみはよく分かる。『オリバー・ツイスト』を読んだから”どういう気がする?」
「僕にとってはどうでもいいことだ。君から学ぶことは何もない。本に書いてある。君自身の話なら喜んで聞こう。君って人間に興味があるから」

「忘れた喜びの価値を悲しみは思い出させる」

ショーンの妻への愛、ウィルの彼女への想い、将来役立つ道に進んでほしいランボー教授と、ウィル自身のことを想うショーンの衝突。愛情を知らない防衛本能。ウィルの歩む未来。