わたP

ドラッグストア・カウボーイのわたPのレビュー・感想・評価

3.5
ヤク中の逃亡モノといえば、その青春の瞬きや、怠惰に身を任せる中の儚さを描くことが多いけれど、この映画は静かな焦燥感や悟りのような人生観を描いている。

象徴して語られるのは主人公ボブが異常にジンクス、暗示にこだわる点で、犬の話をしてはいけない。ベッドに帽子を置いてはいけない。など妙なこだわりを見せる。それによってツキが代わることを本当に恐れていて、そして実際にそれを破るとき、物語が大きく動くのである。

ボブはヤク中の強盗犯であるけど、聡明で世の理に通じている節がある、だからこそこの世から逃れる手段として薬を使い。ヤク中は賢いとまで言う。そして暗示はそんな薬を健全に使うためのタイミングであると語る。
暗示をこだわることが彼にとって薬だらけの世界に陥ることを必死で否定しようとしていたのではないか。

情感豊かな映像が諦めのような無常感と非常に合っている良作。
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