ナツミオ

真夜中のピアニストのナツミオのレビュー・感想・評価

真夜中のピアニスト(2005年製作の映画)
3.8
WOWOW録画鑑賞
【フランスの名匠ジャック・オディアール特集】

”スキップ・ビート“

オーディアール監督作品
『パリ13区』
『天使が隣で眠る夜』
に続き3本目を鑑賞。
フィルマのスコアは低めだが、それ以上に良かった、クライム・サスペンス、人間ドラマの秀作。

「ディーパンの闘い」のジャック・オディアール監督が、裏社会の不動産ブローカーでありながらピアニストを目指し始めた青年の葛藤や苦悩を描いたノワール。
セザール賞他受賞。

【受賞・ノミネート】
・第31回セザール賞8部門ノミネート
(主演男優賞)
7部門受賞(作品・監督・助演男優賞 ニエル・アレストリュプ・有望若手女優賞 リン・ダン・ファン・脚色・音楽・撮影・編集)
・第55回ベルリン国際映画祭2部門ノミネート(金熊賞ジャック・オディアール)
銀熊賞(音楽賞)受賞
・第59回英国アカデミー賞
外国語作品賞受賞
・第18回ヨーロッパ映画賞
男優賞ロマン・デュリス ノミネート

原題 『De battre mon cœur s'est arrêté』(私の心がスキップしたビート)
英題 『The Beat That My Heart Skipped』

2005年仏作品103分
監督・脚本 ジャック・オディアール
製作 パスカル・コシュトゥー
脚本 トニーノ・ブナキスタ
撮影 ステファーヌ・フォンテーヌ
音楽 アレクサンドル・デスプラ
出演 ロマン・デュリス ニエル・アレストリュプ オーレ・アッティカ エマニュエル・ドゥヴォス リン・ダン・ファン アントン・ヤコフレフ ジョナサン・ザッカイ ジル・コーエン 

翻訳者 寺尾次郎

(WOWOW番組内容より追記)
28歳のトム(デュリス)は友人ファブリス(ザッカイ)、サミ(コーエン)と組んで、不法住民を暴力で追い出し物件を転がす不動産ブローカー。同業の父親ロベール(アレストリュプ)との関係に悩む。ある晩、ピアニストだった亡き母親のコンサート・マネージャーと再会したトムは、ピアニストを目指すよう勧められる。10年ぶりにピアノを弾くため、トムは偶然知り合った中国人女性ミャオリン(ファン)のレッスンを受けるように。ファブリスからは浮気のアリバイ工作を頼まれ、父からは取り立てを催促され、現実に嫌気が差すトムは、どんどんピアノのレッスンにのめり込む。さらにはファブリスの妻アリーヌ(アッティカ)と関係を持ってしまうトム。一方、ロベールがロシアンマフィア、ミンスコフ(ヤコフレフ)に大金を騙し取られたと知ったトムはミンスコフに近づき……。

(WOWOW解説より)
後に「ディーパンの闘い」が第68回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝く鬼才オディアール監督が、1978年のアメリカ映画「マッド・フィンガーズ」を、21世紀のパリに舞台を移してリメイク。
原作映画ではチンピラのようだった主人公が、不法居住者を追い出すなどの汚れ仕事をする不動産ブローカーというリアルな職業に置き換えられたのは社会派でもあるオーディアールらしい味付け。
狂気と繊細さが同居する主人公役を、人気男優ロマン・デュリスが熱演。第31回セザール賞では作品賞や監督賞など8部門に輝いた。

裏社会に生きながらピアニストを志すようになる青年を描いた人間ドラマ。
リメイク作品なんですネ!

主人公トムの仕事、不動産ブローカーは、日本で言う地上げ屋。
前半は、汚れ仕事やダメな父親の代わりに取り立てに行ったり、また友人ファブリスに頼まれ浮気のアリバイ作りを手伝わされたりと仕事も私生活もパッとしない日々。
そんな彼が偶然、ピアニストだった亡き母のマネージャーと再会し、ピアノを通じて生きがいを見出していく。

並行して、父親との関係や浮気性の友人ファブリスのアリバイ工作が彼の妻アリーヌにバレ、成り行きで彼女と関係を持ってしまう。
トムのピアノ教師に雇われたミャオリンは、フランス語ば話せないピアノ留学生だが腕は確か。中々意思疎通が上手くいかないが彼は次第にピアノにのめり込むように。

オディアール監督なので、社会の一面も切り取り、不法居住者を暴力で追い出したりする描写やロシアンマフィアの暗躍なども現在をリアルに描く。


以下、ネタバレあり

トムと父親の関係も、しっくりしない。
亡き母の終末の看病を彼がしたわだかまり、同業の父親の仕事はトラブル続きで
家賃を払わないアラブ人商店主に代わりに取立てしたり、ロシアン・マフィアに金を騙し取られたマフィアのミンスコフに関わっていくが…

そんな彼の周りにはトラブルの種が尽きないが、彼自身も浮気性の友人の妻とも不倫関係に。お国柄⁇

母親の影響でピアノに興味を持っていたが母の死後、10年振りにピアノを弾き、中国人の先生とのレッスンからピアノにのめり込んでいく。最初は、現実逃避だったかもしれない彼が弾くことで喜びを見出していく過程の描き方が良かった。

後半、監督の捻った怒涛の展開‼️
ラスト、満身創痍のトムがピアノの音色で表情が晴れやかだったのが印象的。


【忘備録】
(キャスト)
・トム・セール Thomas Seyr
- ロマン・デュリス
主人公。不動産ブローカー

・ロベール・セール Robert Seyr
- ニエル・アレストリュプ
トムの父。不動産ブローカー

・アリーヌ Aline
- オーレ・アッティカ
ファブリスの妻。

・ミャオリン Miao Lin
- リン・ダン・ファン
中国人留学生。トムのピアノ教師。

・クリス Chris
- エマニュエル・ドゥヴォス
父ロベールの恋人。

・ファブリス Fabrice
- ジョナサン・ザッカイ
トムの友人。仕事仲間。

・サミ Sami
- ジル・コーエン
トムの友人。仕事仲間。

・ミンスコフ Minskov
- アントン・ヤコフレフ
ロシア人マフィア。

・Minskov's Girlfriend
- メラニー・ロラン
ミンスコフの愛人。
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