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闇の列車、光の旅の一人旅のレビュー・感想・評価

闇の列車、光の旅(2009年製作の映画)
5.0
キャリー・ジョージ・フクナガ監督作。

中米ホンジュラスからアメリカを目指し旅する少女を描いたロードムービー。

日系アメリカ人のキャリー・ジョージ・フクナガが監督・脚本を手掛け、ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが製作総指揮を務めた中米ロードムービーで、ホンジュラスで貧しい暮らしをしている少女が、父親と叔父と共にグアテマラ、メキシコを経由して新天地アメリカを目指すというお話です。

中南米の貧困と犯罪の蔓延、アメリカへの不法移民といった社会問題を背景に、新たな人生を手に入れるべく長い旅に出たヒロインの過酷な道中を描いたロードムービーであり、徒歩や自動車ではなくアメリカ行きの貨物列車の上に乗って(無賃乗車して)北上していくヒロイン一行の覚悟の旅路を描いています。

ヒロインが出逢うメキシコギャングの青年との関わりと惹かれ合いがもう一つの軸となっていて、組織に追われることとなった青年と運命を共にするヒロインの危険な逃避行&メキシコ脱出行がサスペンスフルに活写されていますし、“掟”を最優先する組織の執拗な追跡&凶悪性がリアルで、それらは中南米においては決して誇張されたものではありません。

貧困や犯罪に苦しむ中南米の実情を一人の女性(+α)の視点から描いて、『そして、ひと粒のひかり』(04)といった旧作を連想させる社会派ロードムービーで、広大な敷地に大型スーパーが林立するアメリカ郊外の風景が、小さな家屋が狭苦しく密集する中南米の風景とは対照的に映し出されています。
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