真田ピロシキ

平成狸合戦ぽんぽこの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)
3.0
世を覆う差別と争いを生むばかりの悪しきマッチョイズムに耐えられなくてマッチョデーモンという名前をやめました。以後よろしくお願いします。

さて改名後1本目の映画は高畑勲マラソンの終盤。昔はTVでも放送していたのですが、何となくつまらなそうに思ってごく一部分しか見たことありませんでした。リアルに描かれた四本脚の狸がちょうど戦いが始まる時になって二本脚で立ち上がり擬人化されるその移り変わりが印象的。タイトルバックに置いて総天然色漫画映画とやけにレトロな言葉で表現されているように、デフォルメ化されたアニメなのかと思うのだけれど、その割には狸による最初の攻撃で人間の死者が3人も出てて軽く流されているが結構ハード。また狸側にもリアルな姿で交通事故により死んだり罠にかけられる様子が描かれていたりと思ったほど牧歌的でもなくて戸惑う。そこは嘘をつかないファンタジーアニメにしたいという高畑監督の意向か。

狸による化かし攻撃は日本の様々な民話・伝承の類を駆使せんとするバリエーションの豊かさや变化の演出が楽しい。その怪現象をTVで解説するのがミズキという人なのも面白いね。クレジットに水木先生載ってるし。こうした狸の間接的な反抗は、物語の力で行き過ぎた文明に警鐘を与えるのと重なって見えて創作者の意気を感じさせる。だがそれすら金儲けのチャンスにしてしまうのが妖怪变化より恐ろしい人間の業深さ。結局開発は少しの妥協は引き出せたものの、ほとんどは人間の思うがままで狸は変化を強いられるのは今の人間社会で厚顔無恥な連中が力づくで意思を通してる姿を見ているようだ。しかし私は街中でなければ生きていけない人間なので狸に共感などおこがましくてアウェイ感があり、あまりノレない映画でした。すいません。