モールス

ロベレ将軍のモールスのレビュー・感想・評価

ロベレ将軍(1959年製作の映画)
4.5
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲った作品ですが、知名度はあるとは言い難いと思います。ですが、作品の質はかなり高いものとなっております。ロッセリーニ作品らしく、ネオレアリズムに特化してます。イタリア人の第二次世界大戦への考え方もよく分かります。
タイトルの「ロベレ将軍」が主人公のことではなく、将軍の名を語る偽物が主人公です。
「ロベレ将軍」とは、イタリア国内のパルチザンと連合軍がナチスに潜入させたスパイでありました。不幸にも彼はナチスに抹殺されます。その後、ナチスは偽の「ロベレ将軍」を仕立て上げます。逆スパイという形でパルチザンに偽物を送り込もうとしたのです。
偽の将軍に仕立てられた主人公を演じたのは、なんと巨匠デ・シーカでキャストも贅沢そのものです。これが詐欺師で、おとぼけキャラというのもコメディチックで味がありました。
そんな彼が変わっていく姿が、本作の見所です。地位が人を作るといいますが、「ロベレ将軍」を演じることによる主人公の心の変化は実に面白かったです。それ故の主人公の最後が印象に残ります。
それとイタリア人のファシズムに対する鬱憤を分かりやすく描写したところは特筆したいです。戦後の価値観で制作された作品で、監督の代表作「無防備都市」などとの違いを感じましたね。
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