とてもいい。
実用性ばかりが称揚される現代をこれでもかと批判しているw
愛や哀れみなんて実用的じゃないんだから、子や彼氏、ましてや自分の妻なんて見殺しにすればいいし、ノロノロ歩くゾンビなんて実用性にかけるのだから走らせればいいし、一人一人の命を救うことなんて実用性がないのだから人間なんて皆殺しにすればいい。
それに対して、愛を持ち、人々を助ける登場人物たちは漏れなく悲惨な結末を迎える。
愛も哀れみも居場所のない、実用性にしか興味のないこんな現代、つまらないと強く感じさせてくれる映画。とても面白い。
でも、その「実用性」批判のために恐ろしいほどテンポが速いので、逆に登場人物の心理描写は(そんなもの実用性がないのだから当然と言わんが如く)追求されず、平板な印象を受け、好きにはなれない。
平板で、ともすればつまらないからこそ、逆に現代を激しく風刺するこの作品は、ややセコくも映るが、しかし実験としては素晴らしい出来に仕上がっている。